「承諾しないなら、裁判になります」~児童相談所の言う『裁判』の意味と28条申し立て~
お子さんを児童相談所に一時保護されているご両親がご相談にいらっしゃいました。
ご両親としては、お子さんが家に帰って来ることを望んでいる。
けれど児童相談所は、子どもを家に帰せない、施設に入れる、と言っているのだそうだです。
そして先日、
「お子さんを施設に入れるのに承諾しないなら、
裁判になりますよ」
と児童相談所の人に言われたんだそうです。
それで慌てて、相談にいらっしゃった、との事でした。
「裁判になるって、私たち、訴えられるって事ですか?」
「児童相談所相手の裁判なんて絶対に負けるって、言われたんですけど」
「戦わないでおとなしく従った方がいいって学校の先生にも言われて・・・」
裁判、なんていきなり言われたら動揺するのは当然です。
だから私からご両親に、裁判ではない、という事を説明しました。
「児童相談所が言っている「裁判」とは家庭裁判所の審判の事です。
今、ご両親と児童相談所の話し合いは平行線です。
ご両親が施設入所に承諾しない限り、この平行線は続きます。
お子さんの為に結論は出さなくてはなりません。
お子さんはお家に帰れるのか。
それとも施設に入ることが必要なのか。
ご両親と児童相談所の話し合いでは結論は出そうにない。
その場合、児童相談所は、家庭裁判所に判断を委ねる、という事なんです。」
「裁判ではないんですね?」
ご両親はおっしゃいました。
「裁判ではありません。なので弁護士を雇う必要もありません。
審判になると、家庭裁判所の調査官が公正な調査を行います。
その中で、お父さん、お母さんもお話を聞かれます。
家庭訪問もあると思います。
だから『裁判で児童相談所と戦う』という訳ではないんです」
ご両親は少しほっとされたようでした。
でも、こういうご相談もとても多いのです。
中には、
「承諾しないなら、子どもに会わせない」
と児童相談所からいわた方もいます。
そんな事を言われたら、承諾しよう、と思ってしまいますよね。
でもこれは説明としては不適切なのは確かです。
ただ、児童相談所が家庭裁判所に申し立てをするのは、
当然、子どもを守るための制度です。
家に帰った後、子どもが虐待を受ける危険があれば、
児童相談所はためらわずに家庭裁判所に申し立てるべきなのです。
4月7日には、昨年末までは児童相談所に保護されていた子どもが、
家庭で再度、両ほほをのこぎりで切られる、という虐待を
受けていた事件が報道されました。
虐待の再発率は高いのです。だから、子どもを帰す事に
児童相談所が慎重になるのは、理解出来ます。
私も子どもの安全を守るためには、そうして来ました。
でもだからこそ、児童相談所の両親への説明は、正確であるべきです。
間違っても、「脅し」に聞こえるような、説明はすべきではないと思うのです。
それは、当然の事なのですが。