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山脇由貴子心理オフィス

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三重 高3女子刺殺事件を考える

2015年10月01日

三重県伊勢市で、高3の女の子を友だちの男の子が刺殺してしまった事件を考えた。

多くの大人が思うだろう。
何故いくら頼まれたといえど、友だちを殺すのか、と。

彼の心に何が起こったのか。
「頼まれたから、彼女のためを思って」
そんな説明じゃ足りない気がする。

以前、ブログに書いた寝屋川の中3男女遺棄事件との共通点を見た気がした。
事件の内容ではなくて、子ども達の行動に。

子ども達がネット世界に現実とは異なるもう一人の自分を作るようになったと感じている。

ネットの中で、人は、どんな人間にもなれる。
男が女になれる。
自分の弱さに悩んでいる人間がものすごく強い力を持っているかのように振る舞える。
そして子どもが大人になれる。

ネットの中の「もう一人」の自分は、
もちろん、思い描いた通りにはゆかない事もある。
けれど願望次第で肥大化もする事もある。
姿を変えることも出来る。

ネット世界にのめり込むうち、
ネットと現実世界の境界は次第に曖昧になってゆくことがある。
本当は、ネット世界の自分は現実とはかけ離れているのだけれど、
ネットの中の「もう一人の自分」が本当の自分に思えてくることは
十分に起こり得る。
ネット上での人間関係が現実の人間関係よりも大事になる事は
よくあることだ。
だから、ネットの中で優しくされ、大人扱いされることで、
下心ある優しさに騙されて、全く危険を感じず、見ず知らずの成人男性に会いに行き
不幸なことに、犯罪被害に遭ってしまう女の子がいる。
ネット世界と現実世界の境界が曖昧になった時、
子どもは大人の想像もつかない、大胆な行動を取ってしまう。
そう思えてならない。
それは、下心ある大人だけでなく、
ネット世界で子どもを大人扱いする大人にも、
責任がある。

寝屋川の事件の被害者の子ども達は、
まるで自分を大人のように思って、
「どうにかなる」と家を出たのではないだろうか。
ネットの中で肥大化した自分を抱えて。
もちろん、以前ブログで書いた通り、
身近に頼れる大人がいなかった事が
大きな原因の一つではあるけれど。

三重の事件も同じだ。
彼らは何故、子ども同士で「死」という重大な問題を
解決しようとしたのか。
身近に、頼れる大人はいなかったのではないだろうか。
残念なことに。

そして彼と彼女は、ネットを通して、
死について話し合っていたのではないだろうか。
現実感が伴わない世界で。

三重の事件の彼にとって、
自分の行動は、まるでネット世界で起こっているような
現実感のない「もう一人の自分」の行動だったのではないだろうか。
結末が、現実世界で起こるなど、想像も出来ないような。
そうでなければ、いくら頼まれたといえど、
殺意などみじんもなく、友だちを殺すなど出来るとは思えない。
彼にとって、「もう一人の自分」が、
どんな自分だったのかはわからないけれど。

2008年の秋葉原の通り魔事件の時も同じことを考えた。
犯人は、現実世界の孤独に苦しみ、
ネット世界に救いを求めた。
しかし彼はネット世界でもやはり孤独だった。
そこで、現実とネット世界の孤独が重なった。
そして次第に、ネット世界での無視や嘲笑が
現実世界のものに思えてきた。
そして、周囲の人間、見ず知らずの人間も含め、
全ての人間が自分を馬鹿にしているように思え、
許せなくなった。そして犯行に及んだ。
そんなことが、犯人の心の中で起こっていたのではないだろうか。
許されることでないのは当然だけれど。

事件犯行にいたる最後のきっかけが
ネット世界での嘲笑や扇動だった、
という子どもに私は現実に出会ってきた。

三重の事件の彼は、加害者として逮捕されたけれど、
心に深い傷を負っているだろう。
少しでも癒されることを願っている。
そして大人は知っておかなくてはならない。
本気で「死にたい」と思っている子どもが少なくないことを。

ネット世界と現実世界の境界が曖昧になる。逆転する。
大人にだって起こり得ることだ。

それを防ぐために。子どもを守るために。
どうすればいいのか。
その答えをこれから探してゆきたい。