不登校のお子さんのお母さんのお悩み~7日欠席すると虐待を疑われる、そして役所のルール~
不登校のお子さんのお悩み相談もお受けしています。
お母さんやお父さんがご希望されれば、
お子さんの不登校の原因や心の状態について、
学校や教育委員会にご説明に伺う事もあります。
学校や教育委員会の受け止めや対応は様々です。
当然、お子さんにはいじめや友人関係の悩み、お勉強面の不安など、
学校に行かれない理由があります。
学校に行かれていない自分にも悩んでいて、心の状態は決して良くありません。
なので、ゆっくり、学校に行かれるようにステップを踏ませてあげて欲しい、
という事をお願いするのですが・・・
お子さんの心の状態を理解し、配慮して下さる学校、教育委員会もあります。
けれど、全く理解してくれない教育委員会もあるのです。
お母さんと一緒に、23区内のある教育委員会に相談に行った時のお話です。
お子さんの心の状態は良くなく、お勉強面でも自信を失っている状態なので、
自信を取り戻すまで待ってあげて欲しい。本人なりに頑張る、と言っている。
そう説明した直後、教育委員会の人に言われました。
「無理ですね」
お勉強面の遅れを取り戻し、自信を取り戻すなんて無理だ、と断言されたのです。
その後の話し合いは不毛でした。
義務教育なんだから、親には子どもを学校に行かせる義務がある。
義務教育期間中の不登校は、子どもの将来にマイナスになるのはデータが出ている。
だから親は子どもを学校に行かせなくてはいけない。
そして、子どもが学校を7日間休むと学校は教育委員会に「通告」しなくてはならない。
教育委員会は、休んでいる理由が適切ではないと判断したら、親に対して相応の措置をする。
それは、法令で決まっている。
ロボットのように淡々と説明されました。
さすがお役所。
そして、学校が通告しなくてはならない理由は・・・
「安否確認が出来ずに殺されていた子どもがいたから」
「埋められていた子どもがいたから」
言葉を失いました。
子どもが7日学校に行かれないと親は、子どもを殺した、埋めた、と疑われるのです。
なんて子育てがしにくい国になったんだろう。
そう、思いました。
なので、安否確認のために、子どもが嫌がっても、無理にでも
親は学校に連れて行かなくてはならない、と言われました。
そして校長と面談しなくてはならない、と。
「嫌がる子どもを無理にでも連れて行かなくてはならないんですか?」
そう質問すると、
「そうです」
やはり断言されました。
子どもの気持ちは関係ない。そう言われたのと同じです。
この国で、一体誰が子どもの為、ということを考えているのでしょう。
そして学校に行かれない子どもの気持ち、
悩んでいるお母さんの気持ちに、誰が配慮してくれるのでしょう。
相談に行ったお母さんは絶望してしまいました。
ただ、その後の学校との話し合いで、お子さんはフリースクールに通う、
ということで納得しては頂けましたが・・・
子どもの安否確認は大事です。悲しい虐待死の事件は実際に起こっています。
安否確認は大事。
でも、それはお役所のルール、言葉の上だけの事だと感じました。
実際には教育委員会は子どもの安否確認が出来なければ、
子ども家庭支援センターや、児童相談所に通告するのです。
けれど児童相談所は学校に安否確認をして欲しいとお願いする。
そこから始まるのは押し付け合い。
結局、誰も本当に子どもの事は心配してはいない。
だから虐待死は防げない。
そして「安否確認」の為に、学校に行かれない子どもと
悩んでいるお母さんの心を傷つける。
この国は、これからもっと子育てがしにくくなるのでしょうか。