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山脇由貴子心理オフィス

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子育ての悩み ~「うちの子、まだ言葉が出ないんです」~

2016年02月26日

子どもがいつ話し始めるか。
これって、お母さんにとって、とても重要な問題ですよね。

その日、児童相談所にやって来たお母さんは悩んでいました。
「うちの子、1歳半になるのに、まだ言葉が出ないんです」
お母さんは続けます。
「ネットで調べたり、育児書を読んだりすると、
 なんか、全部書いてあることが少しずつ違ったりして・・・
 どれを信じてよいのか分からなくなっちゃって」
そうなんです。情報があり過ぎるんです。
そしてネットは特に間違っている情報も入っているし。
お母さんたちは混乱してしまいます。
私は尋ねました。
「声は、出ているんですよね?」
「うーとか、あーとかは言います。でも意味ある言葉はまだ・・・」
お母さんは言いました。
「たぶん、ご存じだと思いますけど、子どもの発達って個人差が大きいんです。」
お母さんはすぐに答えました。
「知っています。でも、どこまでが個人差なのか、分からなくて。
 もしかしたら発達障害なんじゃないかって・・・」

うちの子、発達障害かも。
そういう不安を抱えるお母さんもたくさんいます。
ネットで調べてADHD(注意欠陥多動性障害)のチェックリストを
やってみたら、全部当てはまった、って不安になるお母さんも。
発達障害かどうかなんて、チェックリストだけでは絶対に分かりません。
例えば、じっとしていられない。
子どもなら、普通のことです。

「お子さんはまだ1歳半ですから。
 ありきたりだけど、もうしばらく様子をみて頂いて大丈夫だと思いますよ」
「でも・・・」
そうですよね。「様子をみましょう」なんて言われても安心出来ないですよね。
分かります。

「お子さんに、話しかけてはいますよね?」
お母さんは答えます。
「話しかけた方がいいって色んな所に書いてあるので、
 話しかけるようにはしてますけど・・・。
 そんなに、話すこともないので・・・」
私は言いました。
「お子さんが遊んでいたら『楽しいねー』って言ってあげるとか。
 笑っていたら『楽しいねー』って言ってあげるとか。
 後は、お母さんが思ったこと、全部言葉にしていいんですよ。
 『いい天気だね』とか。『今日は寒いね』とか。」
「それもやろうとはしてるんですけど、『どうせ意味分からないしな』って
 思っちゃうこともあって・・・」
そう思ってしまうお母さんも少なくありません。
「あとは、大人同士が楽しそうに話していることも大事なんです。
 子どもって、大人の真似がしたいから。
 おもちゃよりも新聞とか、料理道具とかに興味を持つのも、
 大人の真似をしたいからですから。」
お母さんはちょっと困った表情を浮かべました。
「でも、主人は毎日遅いですし、休みの日は疲れてずっと寝ていて・・・
 近くに親戚もいませんし。
 保育園も行ってないので、ママ友もいないし・・・」

お母さんの孤独。それがここまでお母さんを思い悩ませている原因。
そうなんです。
児童相談所に相談に来るお母さんは、深刻な悩みを抱えているお母さんもいますが、
「相談出来る人が身近にいない」からやって来るお母さんも少なくありません。

「地域に、『子育て広場』のようなものもありますから、
 そういう所に行ってみても良いと思いますよ。
 児童館でも赤ちゃんのグループをやっている所もありますし。
 あとは、1歳半検診で保健相談所に行った時に、
 月に1回とかで、発達を見てもらうとか。
 もちろん、児童相談所に定期的に来て頂いて発達の経過をみることも出来ますし」

お母さんに話し相手を作る。それが重要です。
お母さんはきっと、お子さんに話し相手にもなって欲しくて、
だから言葉が出るのを待ち望んでもいるのです。

私はちょっと考えてから提案しました。
「あとは・・・よろしければ、私からお父さんにご連絡しましょうか?
 もう少し、家にいる時間を長くしてもらって、お母さんと話す時間を増やしてもらえるように」
お母さんはしばらく考えてから言いました。
「私から、話してみます。疲れているからって、私が遠慮して
 話しかけなかったり、休みの日も起こさなかったりしていたので」
お母さん、偉い!
大切なことはちゃんと夫婦で話し合う。
それが出来なくて、困っているお母さんはとてもたくさんいます。
「あとは、2人でテレビ観て過ごしちゃったりする日もあるので、
 それはやめます」
素晴らしい!
そこに気づけたのは素晴らしいことです。

定期的なカウンセリングではなく、お子さんの発達の経過を見ながら
お母さんとお話する時間を作ることとして、
翌月に予約を入れて頂きました。

3回目にお母さんがいらした時のことです。
お母さんは言いました。
「しゃべりました!しゃべったんです!」
初回にいらした直後、お母さんはちゃんとお父さんと話し合い、
お父さんも出来るだけ早く帰ってくるようにしてくれていました。
夫婦の会話も意図的に増やすようにして下さっていました。
「すぐにお電話しようかな、と思ったんですけど、
 直接伝えたくて!」
お母さんはとても嬉しそうでした。
「それに、この子が話すようになったら、主人も嬉しくって、
 前より早く帰ってくるようになって・・・」
笑いながらお母さんは言いました。

やっぱり、子どもの成長って、親御さんにこれ以上の宝物はないですよね。