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山脇由貴子心理オフィス

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少女2年間監禁事件初公判~被害者の心理~

2016年09月27日

小学生の少女を2年間監禁した事件の寺内樺風容疑者の初公判が行われた、と報道されました。

まず驚いたのは、加害者が被害者に恐怖を与える方法の巧妙さ。
「両親があなたの臓器を売買しようとしている」
「お前はもう捨てられた」
など、子どもが最も怖がる言葉で支配していた、という事です。

私が働いていた児童相談所で出逢った子ども達も、
一番恐れていたのは「親に捨てられること」です。
最も愛して欲しい、愛してくれるはずの親に捨てられる。
それは子どもにとって、最大の恐怖です。
そして
「帰る場所がない」
と思ってしまうと、
「ここにいるしかない」
と思わされてしまう。心理的な絶対的な拘束となります。

そして、加害者は監禁について
「監視していたのは、2週間だけ」
と一部否認しているそうです。

少女が逃げなかったのは、理解が出来ます。
「帰る場所がない」
と思わされただけでなく、
逃げてもきっと捕まるだろう。
家に帰ってもまた連れ去られるだろう。
そして、もっとひどい目に遭わされるだろう。
そう、思ってしまうのです。

DV被害者の心理にも共通しています。
私が児童相談所で出逢ったお母さんで、ひどい暴力を夫に受けながら、
毎日仕事に行き、きちんと家に帰る、という日々を繰り返していた人がいました。
どこに逃げても見つけ出される。
そして連れて帰らされる。
だから一緒に生活し、言うことを聞き続けるしかない。
そう思ってしまっていたからでした。

少女は買い物に行った時、レシートを捨ててしまい、
後から必死に探していた姿を見た人もいました。
完全に、心理的に支配されているからです。
言うことを、聞くしかない。
そう、思わされ続けていたのでしょう。

そして、「両親に捨てられた」という言葉は、
彼女に自己否定感を抱かせたでしょう。
自分はダメな人間だ。
だから、何度か外に出た時に、見かけた人に
助けを求め、相手にされなかったことが
決定的な無力感に結びついたのだと思います。

それでも、パソコンで、自分が公開捜査されている事を知り、
逃げる決意を固められた。
パソコンを見ることが出来て良かった。
これで情報までも遮断されていたら、
彼女は逃げようと思えなかったかもしれません。
外の世界で何が起こっているのか。
今両親はどうしているのか。
それを知ることが出来て、本当に良かった。

ニュースで、量刑は6年程度、と弁護士が予想していました。

短すぎる。
誰もが思うことです。

これから大事なのは、加害者が釈放される時です。
被害者の少女が「無期懲役」を望んだのは、
また探し出される、逆恨みされる恐怖もあるからのはずです。
そして大人が必死に、加害者の釈放時期を隠そうとしても
彼女は知ってしまうかもしれません。
その時には再び強い恐怖が少女を襲うはずです。

だからこそ、加害者の釈放時期には、
大人達が絶対に彼女を守る体制を取る事を伝えてあげなくてはならないのです。
私が出逢って来た、壮絶な虐待を受けた子どもも、
加害者が逮捕され、刑務所に入った後、一番恐れていたのは加害者の釈放でした。

検事さんは、被害者の為に、加害者がいつどこで釈放されるかを
ご両親には教えてくれるはずです。
私も、関係者として教えてもらい、その時に、被害にあった子に
「検事さんもあなたを守ろうとしてくれているよ」
と伝えた言葉に子どもがとても驚いて、そして安心したのを覚えています。

大人はあなたを絶対に守る。
ご両親だけでなく、彼女に関わる大人すべてが、伝えてあげることが
最も恐怖を和らげてあげられると思うのです。

被害者の方がきちんとした治療を受けているかも心配です。
回復には時間がかかると思うけれど、少しずつでも回復してゆける事を望みます。