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山脇由貴子心理オフィス

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新幹線3人殺傷事件~容疑者のいた『自立支援施設』とは~

2018年06月12日

新幹線の中で、22歳の容疑者が刃物で女性2人を傷つけ、

1人の男性を死亡させた、という事件、みなさんニュースでご覧になったと思います。

 

今朝の情報番組で、容疑者の今までの人生が報道されていました。

容疑者は自立支援施設に入っており、施設から定時制高校に通っていたそうです。

 

自立支援施設とは、児童自立支援施設、という事になります。

自立支援施設は、法に触れる行為をしてしまったり、

問題行動を繰り返している、など、社会に適応出来ていない子どもが

入る所です。そして入る為の窓口は児童相談所です。

 

私も児童相談所で働いている時、児童自立支援施設に

入る必要がある、あるいは入った方が良い子にたくさん出逢い、

施設に入っている間も担当として、心のケアを続けていました。

 

児童自立支援施設は居心地の良い場所ではありません。

敷地内に学校があり、子どものスケジュールは決まっていて、

ルールも厳しいです。ルールを破ればペナルティがあります。

自由はなく、施設の外に子どもだけで出ることは出来ません。

 

児童自立支援施設に入った子どもは、1日も早くここを出たい、

と思うのが通常です。

原則的には大人の目の届かない場所にいることすら許されないのです。

 

私の経験と、東京都の状況的に、児童自立支援施設から定時制高校に通い、

卒業まで施設で生活する、というのはかなり異例なことです。

児童自立支援施設は、子ども単独での外出は許されません。

脱走してしまう子もいるからです。

つまり、外の高校に通わせる、ということは、

子どもがそのまま家に帰ってしまったり、

どこかに行ってしまうリスクがある訳です。

つまり、施設から高校に通う、という事は、

子ども自身に、施設での生活を続けたい、という意志がないと

続かないのです。

 

容疑者は施設から高校に通い、卒業までした。

施設内では問題がなかった、とも報道されていました。

容疑者にとって、児童自立支援施設は、居心地が悪い場所ではなかった、

ということなのだと思います。

それはつまり、容疑者にとって、悪いことが出来ない、

人との接触も最低限で済み、やるべきことが決まっている環境が必要だった。

「枠」が必要だった、ということです。

 

児童自立支援施設は厳しい環境です。

一般社会とのギャップはとても大きいのです。

私が担当していた子どもでも、施設を出た後、

また悪いことをしてしまったり、具合が悪くなったりする子はいました。

 

容疑者にはまだ、行動の「枠」が必要だったのだと思います。

一般社会は、容疑者にとって、被害に遭い続ける環境、と

容疑者本人には感じられていたのではないでしょうか。

「誰でも良かった」というのは、

世界中の人間全てが自分を傷つける、という思いをいだき、

全ての人間を憎んでいた、という事なのではないかと思います。

 

絶対に許される行動ではなく、被害者のことを考えると

つぐないきれない罪を犯した、としか言えません。

 

今後、こうした犯罪を防ぐためには、

どうやって、「枠」の必要な人間を見極める制度を作るか、

そして刑務所ではなく、社会に適応できない、社会に出ると

犯罪を犯してしまう人間が生活する場所を作るかなのだと思います。

 

とても難しいことですが。

 

被害者の方の、ご冥福をお祈りいたします。