office yamawaki

山脇由貴子心理オフィス

〒104-0061 中央区銀座8-17-5 アイオス銀座

営業時間:12:00~19:00(最終予約) (土日も予約可)

電話番号:03-3248-8813

ホームプロフィールブログ

ブログ

誉めると叱る その2~誉める所を見つける方法~

2016年02月12日

先日、「誉めると叱る」について書きました。
今日はその第2弾「どうやって誉める所をみつけるか」についてです。

児童相談所に相談ににいらしたお母さんは悩んでいました。
小学校4年生の息子さんが毎日学校で暴れてしまうんだそうです。
「毎日、学校から電話がかかって来て・・・
 迎えに行かなくてはいけない日も多くて。
 お友達にけがをさせてしまって謝りに行かなくちゃいけない日も多くて。
 仕事にも支障が出始めているんです。」
お母さんはフルタイムで働いていました。
だから、早退があまりに多いと上司から指摘されたのに加え、
仕事もこなせなくてたまっていくばかりなのだそうです。

私は息子さんとお話しました。
息子さんは、自分が暴れてしまうことも、しっかり自覚していました。
「暴れちゃうと、怒られちゃうよね」
私が言うと、彼はうなずきました。
「先生にも怒られるし、お母さんにも怒られる」
私は尋ねました。
「どんな事した時に、誉めてもらえる?」
彼は答えました。
「誉められたこと、ない」
ないはずはないのです。きっと誉められているのです。
でも、彼の心の中は怒られた記憶でいっぱいになっているのです。

息子さんの知能検査と心理テストをし、どうやら彼には
衝動性の問題がありそうだ、という事が分かりました。
かっとなると抑えられないのです。

「暴れないように、毎日頑張ってるよね?」
私がテストを終えた時に、彼につたえると、彼は涙ぐみながらうなずきました。
「頑張ってるんだけど、出来ないんだ」
先生にも、お母さんにも怒られる上に、自分の事を責めている。
危険な状態と言えます。
自分がダメな子だと思ってしまうと自暴自棄になったり、
心の中の悲しみが暴れる、という形で爆発してしまうからです。

お母さんのカウンセリングを始めました。
今はお子さんのことが最優先です。
お仕事に関しては、上司の方に事情をすべて話してはどうでしょう、
とお母さんに提案しました。
お母さんはためらっていましたが、思い切って上司に話してみた所
「お子さんのことなら、仕方がない」
と理解してくれ、早く帰れるようにして下さったそうです。

さて、前日のブログにも書きましたが、大事なのは息子さんを叱るだけでなく、誉めること。
叱る量と誉める量は同じでなくてはなりません。
「お家でお手伝いとかはしないですか?」
私が尋ねるとお母さんは言いました。
「お手伝いさせると失敗するので、させてないんです。
 食器もしょっちゅう割っちゃうし。」
「では、息子さんにも出来る、簡単なお手伝いを一つ決めましょう」
食器ではなく、お箸を並べる。これなら食器を割る心配はありません。
決定。
「簡単なことだけど、誉めるか、『ありがとう』って言いましょうね」
お母さんに提案しました。
そして私は尋ねました。
「本当に、毎日暴れちゃうんですか?暴れない日はないですか?」
「ありません」
お母さんは即答した。もしかしたら、見落としているのかもしれない。
暴れる日があまりに多くて。

「カレンダーにシールを貼りましょうか」
私が言うとお母さんの顔に?マークが浮かんだ。
「1日の振り返りを息子さんと一緒にするんです。
 暴れて、お友達にけがをさせちゃった日は赤いシール、
 暴れたけどお友達にけがはさせなかった日は銀色シール、
 暴れなかった日は金色シールとか」

子どもの問題を解決するプロセスで、シールを貼るのは
私がよく提案する方法です。
「でも暴れない日なんかないんです」
お母さんは繰り返した。
「しばらくは、お友達にけがをさせなかった日は誉めて下さい。
 息子さんはとても頑張っています。
 それなのに、叱られるばかりではかわいそうだから、
 暴れちゃったけど、お友達にはけがをさせなかった、
 偉いね、と誉めてあげて下さい」
「分かりました・・・」
お母さんは不安そうでしたが、約束してくれました。
私はもう一つお願いしました。
「効果がないな、と思っても続けて下さいね」
子どもの問題を解決する為には、途中であきらめないこと。
やり方を変えないこと。とても重要です。

最初の1か月は赤いシールだけでした。
お母さんにはカウンセリングに通ってもらい、
カレンダーを確認しながら、私はお母さんを励まし続けました。
2か月目を少し過ぎた頃。銀色シールが一つ貼れました。
「暴れたのには間違いないんですけど、なんだか私嬉しくって」
いっぱいいっぱい、誉めてあげたそうです。
お父さんにも誉めてもらったそうです。

それから、息子さんにも一緒に来てもらう日も作り、
私もカレンダーを一緒に確認し、赤いシールだけの時は励まし、
銀色シールはとにかく私も一緒に誉めました。
銀色シールは月3日くらいに増え始めました。
そして4か月が過ぎた頃。ついに金色シールが貼れたのです!
たった1枚だけれど。

「ご褒美に、家族で食事に行きました。あの子、とっても嬉しそうで」

素晴らしい。暴れることがゼロになることはないかもしれません。
でも、月に20日間暴れていた子が、暴れる回数が19日間になった時、
私たち大人は、気づけているでしょうか。
子ども本人は必死に努力したその日の事を。

どんな問題を起こしている子でも、探せば誉める所は必ずあるはず。
どうぞお母さん達、子どもの良い所を探して、たくさん誉めてあげて下さい。