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山脇由貴子心理オフィス

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辛い子育てをしないために ~子育ての仕方が分からない~

2016年03月04日

広島県の呉で、また児童虐待による死亡事件がありました。
虐待はそう簡単にはなくならない。
現場で感じ続けたことです。
でも、育てられないなら、育てたくないなら、
預けて欲しい。ずっと、思い続けています。

さて、今日書くお母さんのことで、
最初に児童相談所に電話があったのは保育園の園長先生からでした。
「とにかく、子育てが出来ていないんです。
 朝ごはんも食べさせていないことが多いし。
 洋服もタオルもいつも汚れていて。
 プールの日に身体がすごく汚れたまま来ることもあって・・・」
保育園からは、何度もお母さんに注意をしているそうです。
でも、一向に変わらないので、プールのある日は、保育園でシャワーを
浴びさせてあげたり、タオルも保育園のタオルを使わせてあげたりしているそうです。
お子さんはまだ1歳半。心配です。

お母さんには、園長先生から児童相談所に連絡を入れることは
伝えて下さっているということだったので、私はお迎えの時間に
保育園に出向いて、お母さんにお会いしました。
保育園では話しにくいこともあるだろうと思い、
改めて児童相談所に来て頂くことをお約束しました。

児童相談所に来て下さったお母さんに、私は伝えました。
「保育園の先生たちは、とても心配されていて・・・
 お母さんも困っているんじゃないかって。
 何か、お力になれることがあれば、と思っているんです」
お母さんは黙ったままでした。
拒絶されてる?そう思った時でした。
お母さんが口を開きました。
「分からないんです」
お母さんは続けました。
「分からないんです。子どもの育て方も。
 私自身、親から何も教わって来なかったので、掃除の仕方や
 洗濯の仕方も分からなくて。洗濯したのに、タオルが汚いって言われてしまったり。
 ご飯も、食材は買ってあるんですけど、何を食べさせればいいのかも、
 作り方も分からなくて」
聞けば、ご主人もお母さんと同じような境遇で育って来たとか。
そしてお母さんは、19歳でお子さんを出産。
まだ、お母さん自身が、大人になり切れていないんです。

お母さんには、また児童相談所に来て頂き、お話を聞くことにしました。
でも、もう一つ。やらなくてはならないことがあります。
今、一番お母さんに必要なのは、お母さんへのサポートです。

私は、このご家族に関わる人達に集まって頂き、みなさんと話し合いました。
保育園の先生、保険相談所の保健師さん、福祉事務所の方。
みなさん、お母さんが子どもを可愛く思えないとか、
子育てをしたくないわけではない、ということにほっとして下さりました。
そして、喜んでお母さんのお手伝いをしたい、と。

保育園の先生は、引き続き、気になることをお母さんに伝えながら、
どうしたら良いかを具体的にお母さんに教えて下さることに。
保健師さんは、定期的にお家を訪問し、お母さんの困っていることを聞いて下さることに。
福祉事務所はお家にヘルパーを派遣。
ヘルパーさんは、掃除や料理を、お母さんと一緒にして下さることに。
お母さんサポートチームが出来ました。

お母さんは、家に人が出入りすることも嫌がらずに受け入れてくれ、
関わってくれる人たちの話を、素直に、静かに聞いてくれているとのことでした。

3か月経ったころ、児童相談所に来てくれたお母さんは言いました。
「少しだけ、掃除の仕方とか、分かって来ました。
 洗濯ものの片付けかたとかも。
 主人も、掃除を一緒にしてくれるようになって」

保育園からは、心配なことがあると連絡を頂きましたが、
みなさんが根気よく、お母さんを支えてくれ、
そしてお母さんの成長を感じてくれていました。

6か月が経ちました。お子さんは2歳になりました。
私は、お家を訪問させて頂きました。
お父さんとお母さん、そろって迎えて下さいました。

お家は、きれいに片付いていました。
古いアパートでしたが、清潔さも感じました。
「お母さん、よく頑張りましたね」
私がそう言うと、
「みなさんのおかげです」
お母さんはそう言った後、
「やっぱり、家がきれいだと気持ちがいいんですね。
 最近、料理も楽しくなってきて・・・」
素晴らしい。
お母さん、本当によく頑張りました。お父さんも。

子育ての仕方が分からない。自分の子育てに自信がない。
そんな悩みを抱えたお母さんはたくさんいます。
どうか一人で抱え込まないで、誰かに相談して下さいね。
力になってくれる人は必ずいるはずです。