75%の里親委託率の達成 都道府県に求めず 厚労省専門委が要領案
厚労省は、昨年7月31日、虐待を受けた子どもの乳幼児は
原則施設入所停止、里親委託率を75%とする方針を出しました。
https://www.mainichi.jp/articles/20170801/k00/00m/040/119000c
ですが、専門員会の検討によって出された要領案は、
75%という数値目標の達成は求めない、という内容となりました。
以下の記事は、現実の施設入所と里親委託率が表にされており、
とても分かりやすいです。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201802/CK2018020102000132.html
厚労省が数値目標を出した時にも、非現実的、とブログに書きました。
施設入所率が80%を超えるのが現状なのに、
それをいきなり、里親委託と逆転させるなんて。
無茶としか思えません。現場を知っている人間としては。
当然、現場からの反発があっての結果です。
前に、ブログにも書きましたが、
児童相談所が預かる、虐待を受けて育った子どもは、
色々な課題を抱えているからです。
大人への不信が強くて、暴れたりする子もいます。
発達が遅れ気味の子もいます。
里親さんに委託しても、里親さんとの関係が出来ず、
あるいは里親さんが疲弊してしまい
「やっぱり、育てられません」
と言ってくることもあるのです。
でも、それは里親さんが悪いのはでなく、
それほど、育てるのが大変な子ども達だ、という事なのです。
だから児童相談所も里親委託に慎重になります。
その状況で、75%の委託率なんて、達成出来るはずのない目標。
そしてやっぱり達成を求めず、という結論。
これで、この数値目標は完全に形骸化しました。
現場を知らない人が方針を出すから、
実現不可能な方針が出される。
結果、現場は何も変わらない。
いつまで、繰り返されるのでしょう。
必要なのは、大変な子どもを育てられるように
里親さんを支えるシステムを作ること。
そして里親さんを育てるシステムを作ること。
それが十分に出来ないまま、委託率を上げるなんて
出来るはずがないのに。
本当に、虐待を受けた子どもの75%を里親委託したら、
子どもと里親さんを傷つけてしまうだけです。
この国は、本当に子どもの幸せを考えているのでしょうか。