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山脇由貴子心理オフィス

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ブログ

2016年2月

子育ての悩み ~「うちの子、まだ言葉が出ないんです」~

2016年02月26日

子どもがいつ話し始めるか。
これって、お母さんにとって、とても重要な問題ですよね。

その日、児童相談所にやって来たお母さんは悩んでいました。
「うちの子、1歳半になるのに、まだ言葉が出ないんです」
お母さんは続けます。
「ネットで調べたり、育児書を読んだりすると、
 なんか、全部書いてあることが少しずつ違ったりして・・・
 どれを信じてよいのか分からなくなっちゃって」
そうなんです。情報があり過ぎるんです。
そしてネットは特に間違っている情報も入っているし。
お母さんたちは混乱してしまいます。
私は尋ねました。
「声は、出ているんですよね?」
「うーとか、あーとかは言います。でも意味ある言葉はまだ・・・」
お母さんは言いました。
「たぶん、ご存じだと思いますけど、子どもの発達って個人差が大きいんです。」
お母さんはすぐに答えました。
「知っています。でも、どこまでが個人差なのか、分からなくて。
 もしかしたら発達障害なんじゃないかって・・・」

うちの子、発達障害かも。
そういう不安を抱えるお母さんもたくさんいます。
ネットで調べてADHD(注意欠陥多動性障害)のチェックリストを
やってみたら、全部当てはまった、って不安になるお母さんも。
発達障害かどうかなんて、チェックリストだけでは絶対に分かりません。
例えば、じっとしていられない。
子どもなら、普通のことです。

「お子さんはまだ1歳半ですから。
 ありきたりだけど、もうしばらく様子をみて頂いて大丈夫だと思いますよ」
「でも・・・」
そうですよね。「様子をみましょう」なんて言われても安心出来ないですよね。
分かります。

「お子さんに、話しかけてはいますよね?」
お母さんは答えます。
「話しかけた方がいいって色んな所に書いてあるので、
 話しかけるようにはしてますけど・・・。
 そんなに、話すこともないので・・・」
私は言いました。
「お子さんが遊んでいたら『楽しいねー』って言ってあげるとか。
 笑っていたら『楽しいねー』って言ってあげるとか。
 後は、お母さんが思ったこと、全部言葉にしていいんですよ。
 『いい天気だね』とか。『今日は寒いね』とか。」
「それもやろうとはしてるんですけど、『どうせ意味分からないしな』って
 思っちゃうこともあって・・・」
そう思ってしまうお母さんも少なくありません。
「あとは、大人同士が楽しそうに話していることも大事なんです。
 子どもって、大人の真似がしたいから。
 おもちゃよりも新聞とか、料理道具とかに興味を持つのも、
 大人の真似をしたいからですから。」
お母さんはちょっと困った表情を浮かべました。
「でも、主人は毎日遅いですし、休みの日は疲れてずっと寝ていて・・・
 近くに親戚もいませんし。
 保育園も行ってないので、ママ友もいないし・・・」

お母さんの孤独。それがここまでお母さんを思い悩ませている原因。
そうなんです。
児童相談所に相談に来るお母さんは、深刻な悩みを抱えているお母さんもいますが、
「相談出来る人が身近にいない」からやって来るお母さんも少なくありません。

「地域に、『子育て広場』のようなものもありますから、
 そういう所に行ってみても良いと思いますよ。
 児童館でも赤ちゃんのグループをやっている所もありますし。
 あとは、1歳半検診で保健相談所に行った時に、
 月に1回とかで、発達を見てもらうとか。
 もちろん、児童相談所に定期的に来て頂いて発達の経過をみることも出来ますし」

お母さんに話し相手を作る。それが重要です。
お母さんはきっと、お子さんに話し相手にもなって欲しくて、
だから言葉が出るのを待ち望んでもいるのです。

私はちょっと考えてから提案しました。
「あとは・・・よろしければ、私からお父さんにご連絡しましょうか?
 もう少し、家にいる時間を長くしてもらって、お母さんと話す時間を増やしてもらえるように」
お母さんはしばらく考えてから言いました。
「私から、話してみます。疲れているからって、私が遠慮して
 話しかけなかったり、休みの日も起こさなかったりしていたので」
お母さん、偉い!
大切なことはちゃんと夫婦で話し合う。
それが出来なくて、困っているお母さんはとてもたくさんいます。
「あとは、2人でテレビ観て過ごしちゃったりする日もあるので、
 それはやめます」
素晴らしい!
そこに気づけたのは素晴らしいことです。

定期的なカウンセリングではなく、お子さんの発達の経過を見ながら
お母さんとお話する時間を作ることとして、
翌月に予約を入れて頂きました。

3回目にお母さんがいらした時のことです。
お母さんは言いました。
「しゃべりました!しゃべったんです!」
初回にいらした直後、お母さんはちゃんとお父さんと話し合い、
お父さんも出来るだけ早く帰ってくるようにしてくれていました。
夫婦の会話も意図的に増やすようにして下さっていました。
「すぐにお電話しようかな、と思ったんですけど、
 直接伝えたくて!」
お母さんはとても嬉しそうでした。
「それに、この子が話すようになったら、主人も嬉しくって、
 前より早く帰ってくるようになって・・・」
笑いながらお母さんは言いました。

やっぱり、子どもの成長って、親御さんにこれ以上の宝物はないですよね。

家庭内暴力 ~実は大切なのは対応の仕方を知ること~

2016年02月23日

少し前になりますが、掲示板に家庭内暴力についてのご相談がありました。
ブログの方で丁寧に書こうと思っていて、少し遅くなってしまいました。すみません。

お子さんの家庭内暴力で悩んでいる親御さんはたくさんいます。
暴力が日々エスカレートする。
けれど、どこに相談に行っても、「ご本人を連れて来て下さい」と言われてしまい、
「相談に行こう」などお子さんに言えば、暴れるのは間違いないので、
結局相談場所がない、と諦めるしかない。
家庭内暴力に悩む親御さんに共通する悩みです。

実はあらゆる相談機関、そして精神科もそうですが、
問題を起こしている、あるいは何らかの病気を抱えているかもしれない
本人が行かなくても、一番困っている人が相談に行く場所であるべきなのです。
だから家庭内暴力も、困っている家族が相談に行くことが大切なのです。
一番重要なのは、ご家族が家庭内暴力にどのように対応するかを知ることなのです。

以前働いていた児童相談所に、中学生の息子さんの家庭内暴力に悩んでいるお母さんが相談にいらっしゃいました。
「とにかく、毎日のように暴れるんです。
 物は壊すし、壁に穴を開けるし、今はドアも壊れていて・・・」
お母さんは、児童相談所に来る前に、いくつかの相談機関に相談し、
加えて病院の精神科にも相談に行っていました。
「どこに行っても、『本人を連れて来ない・・・』と言われてしまって」
家で暴れている子を相談に連れて来れるわけがありません。
「学校の先生に相談しようかとも思ったんですけど、
 学校では全く問題を起こしていなくて、むしろおとなしい子なので・・・」
実は、家庭内暴力のお子さんの大半が学校では良い子なのです。
これはDV(夫婦間暴力)、つまり奥さんを殴る男性にも共通しています。

私は、お母さんに提案しました。
「しばらく、お母さんだけでも通ってみてはどうでしょうか。
 そしてもし可能なら、お父さんも」
幸いなことに、お父さんは自営業で、時間は比較的自由になる方だったので、
次にはお父さんも一緒に来て下さいました。

お子さんの暴力に、どのように対応するか。
私は1つ1つご両親と話し合いました。
「お子さんがお母さんに暴力を振るったら、お母さんは家の外に逃げて下さい。
 お父さんがいらっしゃる時は、お父さんが盾になってあげて下さい」
お父さんに暴力を振るわないわけではないけれど、それでも女性より男性の方が力はあります。

「私の作った料理を食べないんです。『こんな飯食えるか!』って言って
 食卓をひっくり返し、コンビニで買い物して来いって、行かされるんです」
「食卓をひっくり返すのは止めらないと思いますが、
 コンビニに買い物に行くのは頑張ってやめましょう」
私が言うと、
「行かないと暴れるんです。あとは、『金よこせ』って」
お母さんは言いました。
「お金は絶対に渡さないでください。それから、外には出て下さい。お父さんが帰ってくるまで、どこかで待っているようにしましょう」
「出来るかしら・・・」
お母さんは不安そうでした。当然です。言うことを聞けば暴れないでいてくれるなら、
言うことを聞いてしまった方が楽。そう考えてしまいます。
「頑張って下さい。お母さんが言いなりにならなくなると、
 一時的に暴力はエスカレートすると思います。
 でも、その時こそ、ご夫婦で頑張って下さい」
私がそう言うと、お父さんが言いました。
「本当におさまるんでしょうか。息子の暴力は・・・」
私は言いました。
「必ずおさまります。息子さんの暴力を長引かせないためにも、今、頑張って下さい」
暴れるのが怖くて、子どもの言いなりになり続けて、
結果、20歳を過ぎても暴力がおさまらない。
そんな家族もたくさん見て来ました。
でも、児童相談所も18歳までのお子さんの相談しか受けられません。
まして20歳を超えたお子さんの相談を受けてくれる所は公的機関ではほぼありません。
いくつになっても、親からすれば子どもは子どもなのに・・・

お母さんを励まし続けるためにも、お母さんには週1回通って頂くことにしました。
お父さんは来れる時だけ来て頂いて。

もうずいぶん前のことなのですが、このご両親は本当に頑張りました。
お父さんも2週に1回のペースで来て下さり。
予想通り、一時お子さんの暴力はエスカレートし、
お父さんが盾になるのが間に合わず、お母さんが殴られたり。
ご両親が寝ている時にの寝室に洗剤やらシャンプーやらまき散らしたり。

お父さんの協力があって本当に助かりました。
くじけそうになるお母さんを私とお父さんで励まし続け。

暴力を振るっても、言うことを聞いてくれない。
子どもというのは、ちゃんと学習します。
半年ほど経ったころ、お子さんの暴力は確実に減って来ました。
お母さんにも迷いが無くなりました。

結果、1年ほど通って頂きましたが、後半1年はほぼ月1回のカウンセリングとなっていました。
前にも書きましたが、お別れは寂しいですが、
私のことが必要ではなくなるのは家族にとって良いことです。

お子さんがどんな問題を起こしていても、ご両親が頑張れば、
必ず解決出来る。
お父さんお母さんが信じることが大切なんですね。

ネット依存 ~今どきの子どものインターネット事情~

2016年02月19日

前回のブログではスマホ依存について書きました。
今回は子ども達とインターネットについて心理学的に分析します。

前回書いた通り、子どもたちの友人関係は希薄になりました。
親友にだけは本音が言えない。
ある女の子は言いました。
「だって、続いていく関係なんて、怖いじゃない」
名言です。
そうなんです。続いていく関係とは、失う不安と戦い続けるということなんです。
嫌われたくないから、この人を失いたくないから、だから本音が言えない。
どう思われるか分からないから。
恋愛では起こりがちな心理です。

でも本音が言えない関係なんて、
当たり障りのない会話をしながら笑顔で付き合う関係なんて、
そして四六時中携帯を手放せない関係なんて疲れます。
ある意味、緊張状態が続いた関係だからです。
人間は、思い切り呼吸したいように、本音を言いたいものです。

でも、親友にだけは本音が言えない。そして続いていく関係には本音が言えない。
誰なら本音が言えるでしょうか。
インターネットで出逢った人がぴったりなんです。
自分のことを知らない人だから、相手が誰かもわからないから、
だからこそ本音が言える。
匿名の電話相談のようなものです。
嫌われたって構わない。
どう思われるか気にしなくてもいい。
気が合わない、と思ったらすぐに相手を変えればよい。
だから子どもたちはインターネット世界で話し相手を探すのです。

今どき、婚活だってネットで相手を探すのはごく普通のことです。
だから子どもがネットで話し相手を探すのは悪いこと、とは言い切れません。
最初は子どもたちも「暇つぶし」程度の感覚で、話し相手を探します。
けれど、子どもたちは出逢ってしまうのです。
悩みを打ち明けているうちに、
「僕は誰よりも君を理解してあげられるのに」
「そばにいてあげられなくて残念だよ」
という優しい言葉をかけてくれる、下心に満ちた成人男性に。

小学校高学年以上の、思春期の女の子の中には、その優しい言葉に騙されてしまう子がいます。
なぜなら、彼女たちは、孤独を癒やしたくてネット世界で話し相手を探していたからです。
物理的に一緒にいるお友達はいます。
けれど、人間の孤独というのは、1人でいる時に感じる孤独よりも、
誰かと一緒にいる時に感じる孤独の方が、圧倒的に強いのです。
彼女たちは、お友達と一緒にいても孤独を感じていたのです。

だから優しい言葉に助けを求めてしまう。
最初は、「たかだかインターネットで知り合っただけだし」と暇つぶしのつもりだったけれど、
優しくされてしまうと「たまたまインターネットで出逢っただけで、私は運命の人に出逢ったんだ」
という錯覚が起こります。

だから、どこの誰かもわからない、下心に満ちた男性に会いに行き、
そして残念なことに、犯罪被害に遭ってしまう子がいるのです。

インターネットは、もはや大人にとっても子どもにとっても欠かせません。
便利であるのも間違いありません。
ですが、子どもを危険にさらしている一面もあることを、私たち大人は知っておかなくてはならないと思うのです。

そして、東京に住むある女の子は言いました。
「今の彼氏、北海道に住んでるんだよね」
「え?」
私は聞き返しました。
「どうやって、会ってるの?」
「ううん、会ったことないの」
会ったことないけど、彼氏。こんな事を言う子が増えています。
遠く離れた、ネットで知り合った『彼氏』と、ネットで連絡を取り続け、
そしてある日、親にも内緒で『彼氏』に会いに行ってしまう子も増えています。

そしてある女の子は言いました。
「うちのお父さん、LINEだといい人なんだよね。
 直接会って話すとキモいけど」
LINEの中のお父さんに、実態はあるのでしょうか。

ネットは便利。
でも、子どもを危険にさらしてしまう一面があるのと同時に、
私たちの「関係性」を変えてしまっている一面もあるように思います。
恋人同士。夫婦。親子。

子どもに携帯を持たせないのではなく、ネットの使用を制限するのではなく、
どうしたら解決できるか、これからも考えてゆきたいと思っています。

携帯依存・スマホ依存 ~今どきの子どもたちの友だち事情~

2016年02月16日

「子どもがスマホをずっといじっている」
これも、ゲーム同様、お母さんたちの共通の悩みです。

スマホを何歳から持たせるか。これもお母さんたちは悩んでいます。
「スマホを持たせてほしい」
と子どもが言い、お母さんがダメと言い、喧嘩になる。
そういう親子にもたくさん会って来ました。

確かに今どき、中学生くらいになると、スマホを持っていないと
いじめの対象になりかねません・・・
でも、スマホを買ってあげると、
「食事中もずっとスマホをいじっていて・・・」
「スマホを持ってお風呂に入ると、3時間以上入っていて、
 家族が困るんです」
お母さんたちの悩みは尽きません。

では、なぜ子どもたちは、ここまでスマホを手放せないのでしょう。
今どきの子どもたちの友だち事情は、確実に変化して来ています。
ある中学生の女の子は言いました。
「親友にだけは本音が言えないの」
?それって親友なの?思う方も多いでしょう。
なぜ、親友にだけは本音が言えないか。
それは、「KYと思われたくない」「嫌われたくない」「仲間外れになりたくない」。
本音を言うって意外と勇気のいるものです。
相手がどう思うか分からないからです。

子どもたちはいつだって、孤立すること、いじめられることを恐れています。
友だちとは有効な関係を維持していたい。孤立しないために。
だから、当たり障りのない話しながら、笑顔で付き合う。
それが今どきの子たちの友だち事情なのです。
つまり、間違いなく、子どもたちの友人関係は希薄になっているのです。

では、その希薄な関係がどうしてスマホ依存につながるのでしょう。
子どもたちが携帯を手放せないのは、
「電話が来たら必ず出なきゃいけないから」
「グループLINEが始まったら、必ず参加しなきゃいけないから」。
そうしなければ、
「明日から仲間はずれになっちゃう」
子どもたちは恐れているのです。どこかで希薄な友人関係に気づいているのです。

実際、一晩、グループLINEに参加しなかっただけで、
「LINE外し」にあってしまった、と号泣する子にもたくさん会って来ました。
たった一晩だけのことです。
でも、一晩参加しなかっただけで、翌日、友だちとの会話についてゆけなくなってしまうのです。
たとえLINE外しされなくても、仲間外れにされているように、子どもは感じます。

反して、グループLINEで誰かがクラスの子の悪口を言い始めると、
なんとなく、自分も言わなきゃいけないような感じがして、
でないと仲間外れになるような感じがして、いじめに参加してしまう子は少なくありません。
子どもたちは知っているから。いつだって自分がいじめのターゲットなり得ることを。

実はこれ、大人同士の友だち事情にも共通しています。
ママ友の関係はまさに、子どもたちの友だち事情と同じなのです。
グループLINEには必ず参加しなきゃいけない。
誰かの悪口が始まったら自分も言わなきゃいけない。
ランチに誘われたら絶対行かなきゃいけない。
でないと、孤立しちゃう。
ママ友付き合いはストレス。そんなお母さんも少なくありません。
以前にもブログに書きましたが、女同士はいくつになっても難しいのです。

お母さんも子どもも、いつでもスマホで携帯で友だちとつながっていないと、
関係が切れてしまう。そんな不安を抱え続けています。
そしてお父さんはお父さんで、仕事の連絡が24時間入るようになってしまったので
やっぱりスマホを携帯を手放せません。

結果、家族全員が食事中もスマホをずっと見つめている。
そんなご家族も増えて来ています。
なんだか、寂しい気がします。

いつでもスマホでつながっていなくてはならなくて、そして本音が言えない関係。
それって疲れる感じがしませんか?
その疲れを子どもも大人も、どうやって解消しているのでしょう。
それは次回のお話にします。次回は「子どもとインターネット」です。

誉めると叱る その2~誉める所を見つける方法~

2016年02月12日

先日、「誉めると叱る」について書きました。
今日はその第2弾「どうやって誉める所をみつけるか」についてです。

児童相談所に相談ににいらしたお母さんは悩んでいました。
小学校4年生の息子さんが毎日学校で暴れてしまうんだそうです。
「毎日、学校から電話がかかって来て・・・
 迎えに行かなくてはいけない日も多くて。
 お友達にけがをさせてしまって謝りに行かなくちゃいけない日も多くて。
 仕事にも支障が出始めているんです。」
お母さんはフルタイムで働いていました。
だから、早退があまりに多いと上司から指摘されたのに加え、
仕事もこなせなくてたまっていくばかりなのだそうです。

私は息子さんとお話しました。
息子さんは、自分が暴れてしまうことも、しっかり自覚していました。
「暴れちゃうと、怒られちゃうよね」
私が言うと、彼はうなずきました。
「先生にも怒られるし、お母さんにも怒られる」
私は尋ねました。
「どんな事した時に、誉めてもらえる?」
彼は答えました。
「誉められたこと、ない」
ないはずはないのです。きっと誉められているのです。
でも、彼の心の中は怒られた記憶でいっぱいになっているのです。

息子さんの知能検査と心理テストをし、どうやら彼には
衝動性の問題がありそうだ、という事が分かりました。
かっとなると抑えられないのです。

「暴れないように、毎日頑張ってるよね?」
私がテストを終えた時に、彼につたえると、彼は涙ぐみながらうなずきました。
「頑張ってるんだけど、出来ないんだ」
先生にも、お母さんにも怒られる上に、自分の事を責めている。
危険な状態と言えます。
自分がダメな子だと思ってしまうと自暴自棄になったり、
心の中の悲しみが暴れる、という形で爆発してしまうからです。

お母さんのカウンセリングを始めました。
今はお子さんのことが最優先です。
お仕事に関しては、上司の方に事情をすべて話してはどうでしょう、
とお母さんに提案しました。
お母さんはためらっていましたが、思い切って上司に話してみた所
「お子さんのことなら、仕方がない」
と理解してくれ、早く帰れるようにして下さったそうです。

さて、前日のブログにも書きましたが、大事なのは息子さんを叱るだけでなく、誉めること。
叱る量と誉める量は同じでなくてはなりません。
「お家でお手伝いとかはしないですか?」
私が尋ねるとお母さんは言いました。
「お手伝いさせると失敗するので、させてないんです。
 食器もしょっちゅう割っちゃうし。」
「では、息子さんにも出来る、簡単なお手伝いを一つ決めましょう」
食器ではなく、お箸を並べる。これなら食器を割る心配はありません。
決定。
「簡単なことだけど、誉めるか、『ありがとう』って言いましょうね」
お母さんに提案しました。
そして私は尋ねました。
「本当に、毎日暴れちゃうんですか?暴れない日はないですか?」
「ありません」
お母さんは即答した。もしかしたら、見落としているのかもしれない。
暴れる日があまりに多くて。

「カレンダーにシールを貼りましょうか」
私が言うとお母さんの顔に?マークが浮かんだ。
「1日の振り返りを息子さんと一緒にするんです。
 暴れて、お友達にけがをさせちゃった日は赤いシール、
 暴れたけどお友達にけがはさせなかった日は銀色シール、
 暴れなかった日は金色シールとか」

子どもの問題を解決するプロセスで、シールを貼るのは
私がよく提案する方法です。
「でも暴れない日なんかないんです」
お母さんは繰り返した。
「しばらくは、お友達にけがをさせなかった日は誉めて下さい。
 息子さんはとても頑張っています。
 それなのに、叱られるばかりではかわいそうだから、
 暴れちゃったけど、お友達にはけがをさせなかった、
 偉いね、と誉めてあげて下さい」
「分かりました・・・」
お母さんは不安そうでしたが、約束してくれました。
私はもう一つお願いしました。
「効果がないな、と思っても続けて下さいね」
子どもの問題を解決する為には、途中であきらめないこと。
やり方を変えないこと。とても重要です。

最初の1か月は赤いシールだけでした。
お母さんにはカウンセリングに通ってもらい、
カレンダーを確認しながら、私はお母さんを励まし続けました。
2か月目を少し過ぎた頃。銀色シールが一つ貼れました。
「暴れたのには間違いないんですけど、なんだか私嬉しくって」
いっぱいいっぱい、誉めてあげたそうです。
お父さんにも誉めてもらったそうです。

それから、息子さんにも一緒に来てもらう日も作り、
私もカレンダーを一緒に確認し、赤いシールだけの時は励まし、
銀色シールはとにかく私も一緒に誉めました。
銀色シールは月3日くらいに増え始めました。
そして4か月が過ぎた頃。ついに金色シールが貼れたのです!
たった1枚だけれど。

「ご褒美に、家族で食事に行きました。あの子、とっても嬉しそうで」

素晴らしい。暴れることがゼロになることはないかもしれません。
でも、月に20日間暴れていた子が、暴れる回数が19日間になった時、
私たち大人は、気づけているでしょうか。
子ども本人は必死に努力したその日の事を。

どんな問題を起こしている子でも、探せば誉める所は必ずあるはず。
どうぞお母さん達、子どもの良い所を探して、たくさん誉めてあげて下さい。

子どもにゲームをやめさせる方法~ゲーム依存と「ダメ」という言葉の効果~

2016年02月09日

「うちの子、ゲームばっかりしていて、『やめなさい』って言ってもやめないんです」

多くのお母さんに共通する悩みです。
私も以前、児童相談所でたくさんのお母さんからこの悩みを聞いてきました。

そうなんです。
どれだけ「やめなさい」と言っても「ダメ」と言っても、
子どもはなかなかゲームをやめないんです。

だからお母さん達はとっても困っているのです。

児童相談所で出逢ったあるお母さんは、中学生の息子さんの事で悩んでいました。
「何度言ってもゲームを止めないし、夜中までゲームしていて
 遅刻したり学校を休んだりするようになったので、私、電源抜いたんです。そしたら・・・」
息子さんは暴れたんだそうです。すごい勢いで。
でも、彼は、今までお母さんに激しく反発することもなく、
学校でも問題はない、むしろおとなしい男の子でした。

実は私は、カウンセリングでも講演会でも、心理学的に、
禁止の言葉は子育てと教育において、効果は薄い、とお話ししています。
車道に飛び出した子に「ダメ!」と言ったら立ち止まります。
心理学の実験でも、高い所から重たいものが落ちてくる
その真下にいる人に「危ない!」と言ったら立ち止まります。
ではなんて言えばいいのでしょう。
車道に飛び出してしまった子には「こっちおいで!」
上から重いものが落ちてくる人には「走れ!」「逃げろ!」
前にもブログには書きましたが、人というのは、具体的行動を教えないと
行動を修正出来ないんですね。

ではゲームをやめない子にはどうしたら良いか。私はお母さん達に提案しています。
「もっと、楽しいことを与えれば、自然にやめると思います。
 それも、出来ればお父さんやお母さん、家族で一緒に出来ることにして下さい」

「難しいです。一緒に出来ることなんてなかなか・・・」
「お母さん、大事なのは、何をやるかじゃなくて、誰とやるかです。
 好きな人とやれば何でも楽しいはずです。
 だから、お子さんとの間に、そういう関係をもう一度作りましょう。」
それでもお母さんがなかなか一緒に出来る事が思いつかない時は、
私はお子さんと一緒にゲームをすることを提案します。

私自身、ありました。児童相談所に通って来てくれる子と、一緒にゲームをした経験が。
中学生の男の子でしたが、持ってきてくれたのは「バイオハザード」という
ものすごく怖いゲーム。とてもじゃないけど、怖がりの私には出来ない、と
最初は思いましたが、せっかく一緒にやろうと持って来てくれたので、
挑戦してみたのです。

さっそくお子さんと一緒にゲームをし始めたお父さんは言ってくれました。
「なんか、部屋に引きこもってゲームばっかりしてた息子が、
 部屋から出て来てゲームの点数の話を始めたり。
 内容はゲームの事なんですけど、会話が増えたっていうか・・・」
素晴らしい。

そしてゲーム初体験ながらも、中学生の息子さんと「ワンピース」という
ゲームを始めたお母さんもいました。
戦うのではなく、2人で協力して、敵を倒すゲーム。
お母さんは「へたくそ!」とか息子に言われながらも、
教えてもらい、頑張って続けました。
ある日、2人で一緒に出来る所が一通り終わり、息子さんはせっせと
無料ダウンロードをしましたが、無料ダウンロード出来たのは
すべて1人でしか出来ないものでした。
その時、息子さんは言ったそうです。
「もう1人でしか出来ない所しかないから、このゲーム売ろうかな」
素晴らしい。お母さんも言ってくれました。
「なんか、嬉しかったです」

そうなんです。私も、とっても怖いゲームが楽しかったのは、
中学生の男の子と「怖いね」「怖いね」とキャーキャー言いながら一緒に騒ぎ、
どちらかがトイレに行こうとすると「ちょっと1人にしないでよ!怖いから」
と騒ぎ。それが楽しかったのです。

子どもがゲームをやめないことでお悩みのお母さんたち。
お父さんやお母さんが子どもに歩み寄ってみて、一緒にゲームをしてみて、
お子さんが「1人でやるより一緒にやった方が楽しいや」と思ってくれたら、
これは大きな前進です。
「ダメ」「やめさない」と言うよりも効果はあるはず。
ぜひ、試してみてはどうでしょうか?

でも、つくづく思うのですが、1日に出来る回数が制限されているゲームとか、
開発できないものでしょうか。
3回やったら、もう開けない。「続きは明日!」
とソフト自体に制限がかかっている。
そんなゲームがあれば、お父さんお母さんは喜ぶと思うのです。
そして、子どもだって、明日のゲームを今より楽しみに出来ると思うのです。
甘いかな・・・

誉めると叱る~「うちの子、誉める所がないんです」~

2016年02月05日

子育てにおいて、子どもを誉めるのは絶対必要。
それは多くのお母さんが分かっていることです。
けれど、前回のブログにも書きましたが、子どもが問題を起こしていると、
子どもを誉めるのはとっても大変なこと。
そして今まで出逢った来たお母さんたちの多くは、
「うちの子、誉めるところがないんです」
とおっしゃいました。

本当は、そんな事ないんです。誉めるところは絶対にあるはず。
なので、今日は、子どもを誉める方法についてです。

実は、子育てだけではなく、上司と部下の関係であっても
夫婦であっても恋人同士であっても、「誉める」ってとっても重要なんです。
人間の行動を修正するのには、誉めると叱るは同じ量でなければいけないんです。
でも、お母さんって、家族の生活をスムーズに進めるために、ついつい叱ってばっかりになりがちです。
お母さんにとっては、「叱る」のが仕事の一つでもありますから。

例えば前回書いた盗みとか。
問題を起こしている子どもをどうやって誉めるか。

お母さん達に、まずリストを作ってもらいました。
まずは、今の子どもの「無くしたい行動10項目」。
そして「増やしたい行動10項目」。
この、増やしたい行動が重要です。今、出来ていることの中から探すのです。
そして、「無くしたい行動10項目」の中のトップを「叱る行動」にします。
「増やしたい行動10項目」のうちのトップを「誉める行動」にします。
しばらくの間は、2番目以降の行動は叱らない。ただし、誉めるのはありです。
今、出来ている行動を誉める訳ですから、
例えば、朝、「おはよう」ときちんと言えたら誉める。
食事中、すぐに立ち歩いて、遊んでしまって食事がなかなか終わらない子は
3分じっと座って食事が出来たら誉める。

無くしたい行動がどれだけたくさんあっても、叱るのはしばらくは一つの行動に絞ります。
暴力なら暴力だけ。
「死ね」などの暴言なら暴言だけ。
歯磨きをしない、なら歯磨きのことだけを叱りましょう。

子どもにとって一番怖いのは関心を向けられないこと。
一日中叱られてばかりの子は、お母さんが次第に子どもの行動に慣れてきて、
あまり叱らなくなると、もっと悪いことをするようになります。
例え、叱られるのであっても、関心を向けてもらえなくなるよりましだからです。
だから、叱られてばっかりの子はどんどん悪い事を繰り返し、エスカレートさせてしまうのです。
だからこそ、「誉める」が重要なんです。
でも、誉めてばかりいると、子どもって調子に乗っちゃうんです。
なので、「誉める」と「叱る」は同じ量であるのが重要なんです。

子どもというのは、重点的に1つの行動を叱り、他の行動で誉められていると、
叱られている行動を減らし、誉められた行動を増やしてゆきます。
なので、叱っていた、「無くしたい行動10項目」のトップの行動を子どもがしなくなったら
トップを消し、2番目の行動を叱ることにします。
誉めていた行動も十分に増えたら、2番目の増やしたい行動を誉めることにします。

これは、きちんとノートか何かに記録をつけてゆくと、
子どもの成長が後から確認出来ます。
変化が分かります。
生活の中だと、子どもの成長って見落としがちですよね。
でも、きちんとリストを作って順番に叱って、誉めて、を続けてゆくと
後から「あ、こんな事、出来なかったんだ」とお母さんが確認出来る訳です。

上司と部下でも、夫婦でも、恋人でも同じです。
人は、誉められると「もっとやってあげよう」と思うようになります。
叱られたり、責められたりばかりだと、
「口を開けば文句じゃないか」と思うようになり、
関係は険悪になってゆきます。

だから出来るだけ、「誉める」ことで、自分も心地よくなれるのです。

お母さんたち、ぜひ、実践してみて下さい。

次回は、子どもにゲームを止めさせる方法について書きたいと思います。

児童相談所で出逢った女性たちのお悩み解決~子どものお金の持ち出し~

2016年02月02日

先日のブログで、万引きを繰り返してしまう子どものお話を書きました。

今回も、お子さんの盗みで悩み、とても長い時間をかけて解決されたお母さんのお話です。

お子さんは中学1年生の男の子。
お子さんは万引きではなく、家から家族のお金を持ち出すことを繰り返し、
お母さんは悩んでいました。
「私の財布や夫の財布だけじゃなくて、お兄ちゃんやお姉ちゃんの財布からもお金を盗るんです。
 仕方なく、全部の部屋に鍵をつけましたけど、ちょっとトイレに行くとか
 お風呂に入る時まで鍵をかける訳じゃないので・・・
 ちょっとした隙に盗ってしまうんです」
私がお母さんの話を聞いて、一番気になったのは、
息子さんがお兄さんの眼鏡を盗って自分の引き出しの奥に隠していた、ということでした。

自分に必要のないものを盗る。
これは盗みの中でも、重たい部類に入ります。

2回目は、息子さんがどんな育ち方をしてきたか、
そしてお兄さんとお姉さんの育ちについて詳しくお聞きしました。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんは全然手がかからなくて。
 悪い事はしたことがないんです」
お母さんは言いました。私は尋ねました。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんの成績はどうですか?」
「2人とも、とても優秀です。何も言わなくても勉強する子たちで。
 こう言ってはいけないんですけれど、
 あの子がだけが問題児、というか・・・」

息子さんの心理テストを一通り終えた所で、
私はお母さんに
「申し訳ないけれど、出来れば、お父さん、お兄さん、お姉さんにも
 来てもらえないでしょうか?」
とお願いしました。
ご家族は私のお願いを受け入れて下さり、みなさん来て下さいました。
お父さんもお兄さんもお姉さんも、びっくりするくらい穏やかで、
お金を盗られたり、物を盗られたりで困っているはずなのに、
怒っている様子は全く見られませんでした。
そしてお母さんが、お兄さんとお姉さんをとても頼りに
していることが分かりました。

ご家族全員のお話を聞き、見えてきました。
私はお母さんにお伝えしました。
「おそらく、原因はお兄さん、お姉さんへの嫉妬だと思います。」
お母さんは言います。
「でも、みんなあの子には優しくしてるんです」
「それはとてもよく分かりました。でも、その優しさが、
 『自分だけが問題児』というコンプレックスを強めているのだと思います」
私はお母さんに提案しました。
「あまり、お兄さんお姉さんには負担をかけないようにしましょう。
 出来る限り、お金を盗れない環境を家の中に作るようにして下さい。
 そして、お父さんお母さんが出来るだけ彼と一緒にいる時間を増やして下さい。
 お兄さん、お姉さんとは違う、彼の良い所を見つけて、誉めてあげて下さい」
「分かりました」
お母さんはそう言って帰られました。

けれど、なかなか実行は出来ませんでした。
私の言っていることは、もちろん理解してはいるのだけれど、
気持ちが追い付かない。
子どもが問題を起こしていると、なかなか誉めることが出来ない。
これはあらゆるお母さんに共通します。
この「誉めると叱る」は重要なテーマなので後日詳しくブログで紹介したいと思います。

「とにかく、家族の誰かが、あの子と一緒にいるようにしてます」
そういう意味ではないのだけれど・・・
「それではお子さんは見張られているように感じてしまうかも・・・」

話は毎回、堂々めぐりになっていました。
おそらく、私の言っていることが、お母さんの中でしっくり来ていないのだろう。
私は私で反省しつつ・・・
でもお母さんは通い続けてくれました。すごいことです。
そしてお子さんも通い続けてくれました。これもすごいことです。

通い続けてくれる限り、絶対に解決できる。
私は信じていました。
そしてお母さんを励まし続けました。

気づけば、3年が経とうとしていました。
やって来たお母さんが言ってくれたのです。
「山脇さんの言っていた意味がようやく分かりました!」
家の中に金庫を置き、家族の財布を入れるようにした。
でも、それは「あなたの為だから」と息子さんにちゃんと説明した。
週末、お母さんかお父さんのどちらかが、息子さんと出かける。
家族が常に誰か一緒にいることはやめた。
「あの子にもいい所、いっぱいあることにも気づきました。
 優しい子なんです。
 私の具合が悪いと必ずお手伝いしてくれるし。
 お兄ちゃんとお姉ちゃんは塾やバイトで忙しいから、って」

素晴らしい。
何より、お母さんの根気が素晴らしい。

そうなんです。子どもの問題を解決するのには時間がかかるものです。
大事なのはあきらめないこと。
そして、私のアドバイスを理解し、受け入れてもらうのにも時間が必要だと
私自身がとても勉強になりました。

近日、「誉めると叱る」について、詳しくご紹介します!