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山脇由貴子心理オフィス

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渋谷区 児童養護施設 若草寮 施設長刺され死亡

2019年02月26日

渋谷区幡ヶ谷にある児童養護施設「若草寮」で

施設長である大森信也さんが、4年前まで入所していた

田原仁容疑者(22歳)に刺されて死亡する事件が起きてしまいました。

 

残念でなりません。

若草寮は児童相談所勤務時代、たくさん一緒に仕事をしていた施設です。

私が児童相談所を退職した後も、施設を出た子どもの達の

アフターケアなどで、一緒に仕事をしていました。

 

亡くなった大森信也さんは、いつも明るく、子どもに優しく、

子どもにとって最善を考えている方でした。

そして若草寮は、とても丁寧に、子どもに関わる施設です。

退所した後、うまく自立出来ずに、精神的に不安定になった子を

職員のお金でカウンセリングに通わせるなどもしている施設です。

 

田原 仁容疑者は「施設に恨みがあった」と言っているそうです。

でも、私には信じられません。

確かに、児童養護施設は家庭とは異なり、

不自由な面もあります。

お友達の家に外泊出来なかったり、携帯代も自分で払わなくてはいけなかったり。

集団生活ですから、ルールもあります。

その生活に不満を抱く子がいるのも事実です。

 

ですが、一番の問題は高校卒業後、つまり施設を出た後の

子ども達の自立に向けてのサポートがないことにあると私は思うのです。

進学希望の子は、国の奨学金がもらえるようになってきていますが、

まだ、返済しなくてはならない奨学金を使う子もおり、

学校に通いながらアルバイトをして家賃を含む生活費を稼ぎ、

仕事を始めた後は奨学金を返済しなくてはなりません。

「もう勉強したくない」

という子どもは就職となりますが、

就職先が見つからず、アルバイトで生活する子もいます。

国からの手当ては何も出ません。

 

一般家庭でも、18歳の子どもが自立するというのは大変なことです。

そして児童養護施設で生活する子どもは、虐待を受けて育っていたり、

心に傷を抱えている子どもがたくさんいるのです。

 

少ない収入で欲しい物も全て我慢。

働きづくめで遊ぶ時間もない。

 

学校を途中でやめてしまう子、自立出来ない子はたくさんいます。

そして、さらに心の傷を深めてしまう子も。

 

同年代の周りの子を見ると、皆には帰れる家があり。

食事を作ってくれる親がいて。

サークルや旅行、遊んでばかりいる。

羨ましくても、児童養護施設出身の子には、帰れる家がなく、

頼れる大人もいないのです。

 

自分の人生は、どうしてこんな風になってしまったのか。

自分はどうしてこんなに不幸なのか。

どうして苦労ばかりしなくちゃいけないのか。

 

そんな不満を抱くのも当然です。

 

田原 仁容疑者も、お金も無くなり、住む場所もなくなり、

困り果てていたのではないでしょうか。

自分の人生への不満を怒りを誰かにぶつけたかったのではないでしょうか。

 

そして思い浮かぶのは自分が生活していた施設しかなかった。

怒りをぶつける相手は施設職員しか思い浮かばなかった。

自分の人生の不幸の責任を取ってくれる人はいないから。

逆に言えば、一番身近な存在だった。

本当は「苦しい、助けて」と言いたかったのではないでしょうか。

 

18歳を超えた子どもは、児童相談所には相談出来ません。

児童相談所が相談を受けるのは18歳未満です。

そして、生活に困っても、国から受けられるサポートはありません。

田原 仁容疑者は加害者になってしまいましたが、

自分自身を傷つけるしかない子もいます。

 

頼れる親、大人がいないのに、18歳でいきなり

自立しなさい、と言われる。

それは無茶な話です。

 

この国には、まだまだ子どもを守る制度が足りていません。

児童相談所を強化し、虐待されている子どもを守る。

そして、虐待を受けて育った子どもを幸せな大人として自立させる。

それが、国の責任だと私は思うのです。

児童養護施設出身の子どもへの住居の提供と生活資金の援助。

現場はずっと必要性を感じ続けています。

 

子どもは保護して終わりではありません。

心のケアをし、育て直しをし、日々の生活に安心感を抱かせ、

そして大人になるのは幸せなんだ、と感じさせてあげる。

その為に、児童養護施設や自立援助ホームなどの

子どもを預る現場の職員は必死で頑張っています。

それでもこんな事件が起きてしまう。

 

自分達が面倒を見て来た子どもに、施設長が、

職員が殺されてしまう。

若草寮の職員、そして全国の児童養護施設の職員は

心を痛めていると思います。

どうしたらいいのか、と苦しんでいると思います。

2度とこんな事件を起こさない為に。

施設出身の子どもをサポートする制度も作ってゆくべきです。

 

大森 信也さんの死が悔やまれてなりません。

ご冥福をお祈りすると共に、若草寮の子ども達、

職員の皆さまの心の回復を願っております。

 

 

4歳の長女に暴行 母親を逮捕 全身に100か所以上の傷

2019年02月19日

鹿児島のいちき串木野市の母親が、当時4歳の長女に暴行、

腰や背中、頭にけがをさせた疑いで母親が逮捕されました。

女の子の身体には、全身に100か所近くの傷痕があったそうです。

 

先月22日に、女の子の通う福祉施設の関係者が市を通して

児童相談所に連絡があり、児童相談所が女の子を保護、

今月5日に警察に連絡したとの事です。

 

保護となったのは、本当に良かったのですが、

全身に100か所の傷痕、というのは信じられません。

なぜ今まで発見されなかったのでしょうか。

しかも、報道によると、以前から、市や児童相談所、警察が関わっていたそうなのです。

 

一昨年5月、女の子が当時3歳だった時に

診察した医師から、「虐待の疑いがある」と市の福祉課に連絡。

その連絡を受け、市や警察・児童相談所・保育園などを交えた

会議を行っていました。

さらに市の福祉課は一昨年6月と去年8月の2回、

母親と面会していたのに、虐待の確定には至らなかった、

ということなのです。

一昨年8月の母との面会は、女の子の前歯が2本

折れていたので家庭訪問をした所、

母親は「自分で転んだ」と言ったそうです。

そして母親は今も、虐待を否認しているとのことです。

 

 

市、児童相談所、警察、保育園が会議を行ったということは、

見守り体制が出来ていたはずです。

私も児童相談所で勤務している時は、

多くの虐待を疑われる子どもの関係者会議に参加して来ました。

 

重要なのは、役割分担です。

誰が、いつ、何をすべきか。

例えば、保育園は子どもに傷があったら

すぐに児童相談所に連絡、そして病院に連れて行く。

一昨年の前歯が2本折れていた時も、女の子を歯医者に連れて行き、

医師にどういう状況に折れたか判断してもらい、

母の主張と一致するかを確認する、という事をしていれば、

母親の虐待の可能性が見えていたかもしれません。

 

さらには、下のお子さんもいたのですから、

保健所に、健診に絡めて家庭訪問をしてもらう、

健診に女の子も呼び、様子を見てもらう。

 

怪我や傷が発見された場合は、市の福祉課ではなく

児童相談所が家庭訪問し、母親が嫌がっても、

全身の傷をチェックすることも必要でした。

 

そして、関係者会議は繰り返し、定期的に行うことが重要です。

怪我、傷の頻度は増えていないか。

母親の態度に変化はあるか。

役割分担は変更の必要がないか。

検討し続けることが重要なのです。

 

警察との情報共有はこれから全国的に広がってゆくはずです。

ですが、情報共有だけでは、警察も何をしてよいのか分かりません。

パトロールの頻度を増やしてもらう。

母親が子どもをの姿を見せたがらない時や

親が高圧的に関係者を怒鳴る時などは

警察に同行してもらう。

具体的に何をしてもらうか、決めておくことが重要です。

 

千葉の小4女児虐待死事件、心愛ちゃんの事件も、

長期休み明けの欠席はすぐに学校が児童相談所に連絡、

児童相談所が子どもの姿を確認に行く。

父親が拒否した場合は警察が同行。

警察が家の近所をパトロールしていれば、

心愛ちゃんの泣き声を聞き、訪問出来たかもしれません。

 

今回の事件の女の子も、身体の傷が100か所ならば

心はもっと傷ついているはずです。

心は見えないけれど。

これ以上、子どもを傷つけない為に、救うために。

関係者会議の徹底、具体的な役割分担を行うことが重要です。

 

千葉県野田市小4女児虐待死事件の問題点2

2019年02月09日

教育委員会が心愛ちゃんのアンケートを父親に渡してしまったのも大きな問題だ。

条例違反に当たるのだが、それ以前に、アンケートを渡してしまえば、

虐待が再発・エスカレートすることは、当然、予測出来た。

それなのに教育委員会の担当者は、「恐怖心を抱いた」と述べており、

つまりは父親の攻撃に屈した、ということだ。

自分の身を守るために、心愛ちゃんを犠牲にしたということだ。

クレーム対応の知識がなさ過ぎるとしか得言えない。

この事件は、児童相談所も、学校も、教育委員会も、全ての組織が父親の攻撃に屈し、

言いなりになってしまった為に起こった事件と言えるだろう。

 

教育委員会にも問題はあるが、子どもを虐待から守る権限は児童相談所にしかない。

児童相談所は、心愛ちゃんが自宅に戻った後、3月19日に学校で心愛ちゃんに会い、

手紙は父親に書かされたことを確認している。この時に、本人からの虐待の訴えがなければ、一時保護は難しいだろう。

しかし、定期的に会いに行くべきだったのだ。私たちはあなたの味方だよ、心配しているよ、

もし叩かれているのなら、今度は必ずあなたを守る、

絶対に家に帰さない、と心愛ちゃんに伝え続け、そして機会を待ち、保護すべきだったのだ。

そして学校と児童相談所の連携が不十分だったことも大きな問題だ。

夏休みや冬休み、長期休暇後の欠席は絶対に放置してはいけない。

長期休暇中は虐待がエスカレートするリスクが非常に高いのだ。

欠席は傷、あざを隠す為かもしれないと疑わなくてはならない。

長期休暇明けの欠席は学校はすぐに児童相談所に連絡すべきであり、

児童相談所はすぐに子どもの姿を確認しなければならない。

沖縄の母方親族の所にいる、と言われたら、児童相談所は沖縄の児童相談所に心愛ちゃんの確認をお願いすべきだった。

「親族宅にいる」「親族の具合が悪い」というのは虐待加害者が子どもを姿を見せない為に使う常套句だ。

その言葉を疑い、沖縄での確認、そして家庭訪問を行っていれば、心愛ちゃんの命は助かったのだ。
 

父親に続き、母親も逮捕されたが、DVから、虐待から母子を救ってあげる為の働きかけを

しなかった行政側の責任も大きい。

糸満市では親族が父から母へのDVと子どもへの恫喝を親族が相談している。

柏児童相談所も母からDVがあることを聞いている。

誰かが、母親に子どもを連れて逃げることが出来るよ、と教えてあげていれば。

その事も残念でならない。

 

同じような事件を起こさない為に、児童相談所を改革することは必須の課題だ。

そしてこの事件の問題点を丁寧に検証し、同じことをしないよう、全国の児童相談所で共有すべきだ。

千葉県野田市小4女児虐待死事件の問題点 1

2019年02月09日

千葉県野田市で小4の女児が父親からの虐待によって死亡する事件が起きてしまった。

この事件の経過を見ると、防げることが出来た、救える命だった、と確信する。

今後2度と同じような事件が起きない為に、この事件の各機関の問題点を検証したい。

まず、学校がいじめのアンケートに本人が父親からの虐待について書き、

担任が聞き取りをし、児童相談所に通告、児童相談所が翌日に一時保護をした。ここまでは良い対応だったと言える。
 

問題はその後だ。柏児童相談所は「重篤な虐待ではないと思い込んでいた」と記者会見で述べているが、

なぜ、重篤な虐待ではないと判断したのか。アンケートには本人の訴え以外にも担任が聞き取ったメモがあり、

そこには「叩かれる」「首を蹴られる」「口をふさがれる」「こぶしで10回頭を叩かれる」とあり、

明らかに重篤な虐待と言える内容だ。さらに児童相談所は一時保護中に、

心愛ちゃん本人からも虐待について聞き取りをしているはずだ。

加えて心理の専門家が心愛ちゃんの心の傷の度合いなども検査しているはずだ。

学校で虐待について話すことが出来た子どもなのだから、児童相談所でも必ず話しているはずだ。

その内容については、一切公表されていないが、「重篤な虐待ではない」と言う判断は

心愛ちゃんの訴えがなかったことにされたとしか思えない。

結局児童相談所は、父親からの恫喝に負け、心愛ちゃんを帰してしまったのだろう。
 

父方親族に帰したのも問題の一つだ。自宅ではないと言えども、父方なのだから、父親味方である。

そこに心愛ちゃんを帰せば、すぐに父親の所に戻されることは容易に想像できる。

実際、児童相談所は、2か月程度で自宅に戻す予定だった、と述べている。

しかしその戻し方も問題だ。心愛ちゃんからの手紙を見せられ、

おそらく父親に書かされたのだろう、と思いながらも父親が心愛ちゃんを家に連れて帰るのを許している。
 

そもそも、父親は一貫して虐待を認めていないのだ。

それなのに父方親族宅に帰したのもあってはならないことだが、

ましてや、父親の要求に従って、自宅に戻すなど、絶対にあってはならないことだ。

虐待だけでなく、DVもある家庭なのだ。

この時、父親は、「これ以上引っ掻き回すな」と児童相談所に言っており、

児童相談所の今後の関わりを一切拒絶している。児童相談所は虐待再発を防ぐために、

定期的に家庭訪問し、親子の様子を見て、さらに学校訪問し、子どもの本心を聞かなくてはならない。そ

の児童相談所の指導に従わない、と父親は言っているのだから、

父親の要求の全てを、児童相談所は拒絶しなくてはならなかったのだ。

それなのに、児童相談所は父親の言いなりになり、その後、心愛ちゃんを放置している。

 

川口いじめ 被害者の元男子生徒、投稿者を提訴へ プロバイダーが情報開示

2019年01月08日

埼玉県川口私立中学で、いじめに遭った元男子生徒が、

ネットに誹謗中傷を書き込んだ投稿者の氏名や住所などの

開示を求めた訴訟で東京地裁はプロバイダー3社に

情報開示を命令する判決を出しました。

プロバイダー側は元男子生徒が開示を求めた4件すべてを

開示しました。

 

報道を見て、本当に良かったと思いました。

ネットいじめの加害者達は、自分は匿名性を手に入れた

と勘違いをします。

だからいじめはエスカレートし続け、次第に、

被害者の実態すら薄れていきます。

被害者が傷ついていることなんて、誰も考えなくなります。

ネットいじめは加害者達にとって、エンターテイメントになります。

自分が楽しければいい。

そして、皆を楽しませているような錯覚すら抱くようになるのです。

エンターテイメントになってしまえば、

嘘や作り話も歓迎されます。

そもそも、誹謗中傷がいじめに利用され始めると、

その内容が本当かどうかなんて、誰も確かめようと思いません。

いじめの手段の一つでしかないのですから。

 

いじめのエスカレートを止めるために、私は大人の力が必要だ、と

ずっと言い続けています。

いじめは心のウィルスです。

子どもの心に感染するウィルスです。

ウィルスなので、子ども自身は感染している事に気付いていない場合も多いのです。

だから、大人がいじめの解決に取り組むことが必要です。

 

その為には、いじめに没頭している子ども達に

「大人はいじめを許さない」とか

「いじめは悪いこと」

と伝えるのは意味がありません。

 

大人はいじめを必ず発見し、放置しない。

その態度を見せることが必要なのです。

ネットいじめをエスカレートさせないために、

ネットの世界は決して匿名ではないこと、

ネットを通してであっても、人を傷つければ

大人がちゃんと犯人を特定する、ということを

大人は示すべきなのです。

 

ネットいじめは、警察に相談しても、恐喝には当たらない、

犯罪ではない、など警察が動けない場合も多いです。

だから被害者は苦しみ続けるのです。

 

川口の元生徒の親御さんは大変苦労されたと思います。

でも、この判決が報道された事で、

ネットいじめに加担しない子どもは増えると思います。

ネットの世界でも加害者は特定される。

多くの子どもに知って欲しいです。

 

 

港区南青山児童相談所建設問題

2018年12月26日

港区が南青山に児童相談所を建設する予定について

住民説明会で一部住民が強く反対していることについての

報道が続いています。

 

一部の住民は「子どもが格差を感じる」と述べています。

『格差』とは何か。

そう考えた方もたくさんいらっしゃると思います。

 

港区が子ども家庭総合センター(仮称)の中に作る予定の

母子生活支援施設の子どもの中には、学校に通う子どもが

いるかもしれません。

その子ども達は本当に格差を感じるのでしょうか。

 

そもそも、大人が『格差』を作るから、

つまり偏見を抱くから、子ども社会にいじめが発生するのです。

大人が子どもの社会のいじめを作るのです。

親が、施設に通う子どもに偏見を抱いていたら、

子どもだって偏見を抱くし、一緒に遊ばないようにするでしょう。

 

実際、施設から学校に通う子ども達にとって

居心地の良い、過ごしやすい学校や地域を作ることが、

大人の責任のはずです。

 

ただ、この報道を見ていて、懸念していることがあります。

これほど、児童相談所と母子生活支援施設の場所が

有名になってしまったことです。

 

今まで、一時保護所と母子生活支援施設は住所は秘匿でした。

それは、虐待する親や、DVの加害者から、子どもと母子を守る為です。

保護された子どもやお母さんは虐待やDVの加害者が、

今いるこの場所を見つけ、自分を連れ戻しに来るのではないか、

と怯えています。

それを悪夢で見続ける子どももいるのです。

 

ですが、今回の報道で場所は完全に特定されました。

港区の児童相談所、母子生活支援施設に行くのは港区民に限られます。

つまり、港区内で、虐待を受け、保護された子どもがいる場所が

虐待する親に分かってしまう。

DV被害から逃れた母子が生活する場所が加害者に分かってしまう。

 

被害に遭って来た子どもやお母さんにとって、安全な場所ではなくなってしまうのです。

 

私も児童相談所で働いている間、子どもを保護する時には

「あなたを守るから、安全な場所に行こうね」

と言って来ました。だから子どもは保護を望むです。

その根底が覆されてしまう。

 

被害者を守る為には、港区民の被害者は他の区に保護をお願いし、

代わりに港区は港区外の子どもや母子を保護する。

被害者を守る為には当然とらねばならない対策ですが、

それがきちんと検討され、整っていくのかどうか、とても心配しています。

 

現場にいた人間としては、被害者の居場所を隠すのは

真っ先に考えなくてはならないことなので、

当然、検討され準備されている、と考えたいです。

 

ですが、その点について、説明会の内容にはなく、

本質的ではない議論が繰り返されています。

 

もちろん、行政側の説明の不十分さに問題があるのは確かです。

この先、港区は説明会を行わない、と発表していますが、

それはあまりに乱暴過ぎます。

 

住民と話し合いながら、住民の不安を解消し、妥協点を探してゆく。

それは今後必要なことですが、同時に、被害者をどうやって守ってゆくのか、

地域で支えてゆくために、住民にどんな協力をしてもらう必要があるのか。

その議論もしていって欲しいです。

 

 

港区南青山児童相談所建設問題

2018年12月18日

港区が南青山に児童相談所を建設することを発表し、

住民が激しく反対していることが報道されています。

なぜ南青山なのか。

価値が下がる。

そんな住民からの声に疑問を抱く方はたくさんいらっしゃると思います。

 

先週末、再度港区が児童相談所に関する学習会と

説明会を行ったことも報道されていました。

そこでも、住民の方々は反対されていました。

住民の声の中には、

港区の小学校に通うことで、子どもは余計に辛くなるのでは。

外に出て幸せそうな家族を見て、辛い思いをするのでは。

そんな声もありました。

そして、前回の説明会でも出ていた、物価が高い、ということ。

 

住民の方達は大きな勘違いをされていると思います。

児童相談所の子どもは、学校にも行きませんし、外には出ません。

一時保護所は職員が子どもの生活を管理しているので

暴れる子どもはほとんどいません。

児童相談所の一時保護所に子どもがいられるのは最長2か月です。

一時的な避難場所であり、生活場所ではありません。

 

そして、母子生活支援施設も、一時的な生活の場所です。

母子は、これから先、支援なしでも生きていけるような

方法を探すために、一時的に支援施設で生活するのです。

自分達がこれからどこで、どんな風に生活するのが安全か。

子どもはどんな学校に通うのが良いのか。

職員と相談しながら、これからの生活を決めてゆく場所です。

辛い思いをするとか、物価が高いとか、

心配して頂かなくても、職員が相談に乗りながら、解決出来る場所です。

 

私が何より思うのは、児童相談所は子どもを救う場所で、

母子生活支援施設も母子を助ける場所です。

児童相談所や母子生活支援施設を必要とする子ども、お母さんは確実にいるのです。

私も、児童相談所で働いている時に、たくさん感謝されました。

あの時、相談に行って良かった。

あの時、子どもを預ってもらって良かった。

あの時、児童相談所に助けてもらって良かった。

 

この報道を見ている、助けを必要としている人達は、

自分達はこんな風に、邪魔者扱いされているんだ、と感じ、

相談に行かれなくなってしまうのではないでしょうか。

 

それが、児童虐待を増やす。

子どもの非行を深刻化する。

 

その危険があることを、理解して欲しいです。

 

児童虐待「児相の介入強化を」厚労省 社会保障審議会提言へ

2018年12月06日

児童虐待の防止策を検討している厚労省の諮問機関、社会保障審議会の

ワーキンググループは、児相が強制的に子どもを保護する

「介入機能」の強化に向けて、都道府県に計画策定を求める

報告書案をまとめました。

 

報告書案の骨子の中には

・児相が躊躇なく介入出来るよう体制整備

・「介入」と「支援」で部署や職員を分ける

・児相の業務の第三者評価の仕組み創設

・児相全国共通ダイヤル「189」は虐待通告を中心に受ける

 

など、私が著者の中や雑誌への寄稿の中で提案している

内容が盛り込まれました。

今まで、児相が子どもを保護する事に躊躇して来たのは、

親との敵対を避けるためが大きな要因でした。

それは、児相が、子どもを強制的保護出来る権限を持ちながら、

親との信頼関係を作らなくてはならない、

という矛盾した役割を担っていたからです。

だからこそ、強制的に子どもを保護する部署と

親との信頼関係を築く部署は当然分けるべきだったのです。

そして、児相の判断に間違いがないかのチェック機能は

絶対に必要です。

また、児相が虐待の専門機関ではなく、子どもに関する

相談全てを受ける機関であることも、児相職員の負担を増やしている原因でした。

 

ただ、まだ足りない部分も課題もあります。

私が以前から指摘している課題であり改善点、

「児相の職員を児相勤務を希望している、虐待や児童福祉に関する

 専門知識がある人間を採用する」

という内容は盛り込まれていません。

つまり、今まで同様、虐待に関する知識もない、

素人である自治体職員が、児相に勤務する、という点が改善しないということです。

この点は、各自治体が児相職員の採用枠を作ればよい訳で、

出来ないことではないはずです。

そして、児相職員が専門家ではない事こそ、判断ミスを起こす

大きな原因となっているはずです。

 

また、骨子の中には

「児童福祉司の研修は介入機能に重点」

ともあります。私も児童福祉司の研修を充実させることは

必要だと考えていますが、当然のことながら、子どもを家庭に帰すための

支援も重要です。

子どもの命を救うために、子どもを保護することは大事ですが、

自立するまで施設で生活させることが子どもの幸せではありません。

 

そして、児相が子どもを強制的に保護するようになればなるほど、

「児童相談所に子どもを拉致された」

「誘拐された」

「監禁された」

といった、ネットの中での声も高まってゆくに違いありません。

そうした情報に、振り回され、児相を「ブラック」だと

本当に信じている親御さんもいるのです。

 

児相は子どもを守るために、強制的に子どもを保護する必要があります。

その為には、「拉致」「誘拐」などという情報が広まらないように

しなくてはならないと私は思います。

児相の機能と権限。その必要性をもっと広く、国民に

理解してもらう方法も検討すべきだと思います。

 

 

 

映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」

2018年11月30日

映画「母さんがどんなに僕を嫌いでも」

試写会にご招待頂き、鑑賞しました。

http://hahaboku-movie.jp/index.html

 

吉田羊さんの子どもを虐待するシーンは生々しく、

壮絶です。

観ているのが苦しい、辛い、という方もいると思います。

でも、児童相談所で働いていた経験上、

こういう母親はいる、と思いました。

自分自身の夫や人生への不満を全て子どもにぶつける。

そこには「あんたさえ生まなければ、私の人生は違ったはず」

という思いがあるのです。

子どものせいではないのに、自分の不幸を子どものせいにする。

だから子どもを愛せない。

 

これだけ虐待されて、どうしてでも子どもは母を求めるのか。

そういう疑問を抱く方もいるかもしれません。

でも、子どもというのは、どれだけひどく虐待されても、

母を求めるのです。

そこにも、リアリティを感じました。

諦めてしまえば、楽なのに。

もう、期待なんてしない方がいいのに。

 

私自身、児童相談所で働いている時に

たくさんの子どもに伝えて来ましたが、

それでも子どもは親を求めるのです。

 

この映画は親子の「愛」について考えさせられます。

自分自身を重ねて考える方も多いのではないでしょうか。

 

私としては、子どもをどうしても愛せない、

お母さんに観て欲しい映画です。

#こどものいのちはこどものもも×Readyfor 「こどもギフト」~社会的養護啓発プログラム~

2018年11月21日

児童虐待防止に取り組むタレントの犬山紙子さん、眞鍋かをりさん、福田萌さん

ファンタジスタさくらださん、坂本美雨さんによる

「#こどものいのちはこどものもの」とReady forがコラボし、

クラウドファンディングにより、社会的養護を必要とする

子ども達を支援する「こどもギフト」プログラムがスタートしました。

昨日、厚生労働省で記者会見を行い、私も同席、コメントさせて頂きました。

Ready forの「こどもギフト」特設ページにも

アンバサダーとして、コメントさせて頂いています。

 

https://readyfor.jp/kodomogift/index.html

東京新聞でも大きく扱って頂きました。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201811/CK2018112102000140.html

 

今回は第1弾として、児童養護施設の修繕費など6施設が

寄付を募っています。

 

実際、児童養護施設や自立援助ホームは資金が足りず、

老朽化した施設を借金で建て替えたりしています。

心理の専門家も予算が足りず、雇えなくて、子どもの心のケアが

出来ない施設もあります。

 

児童虐待を無くしたい。

被害にあった子どものために何かしたい。

でも何をしたらよいのか分からない。

そう思っている人はたくさんいます。

その人達にこのプロジェクトが知られ、

多くの寄付が集まることを望んでいます。

 

社会的養護が必要な子の多くは、親から愛されずに

育った子ども達です。

親に代わって愛を注ぐ。

それは職員や専門家がどれだけ頑張ってもとても難しいことです。

 

このプロジェクトを通して、子ども達が世の中の

多くの大人が自分を支えてくれ、味方してくれている、

と思えれば、子ども達の心の回復にもつながり、

将来への希望も持てるはずです。

 

広がってくれることに期待しています。

 

12年前の乳児死亡 傷害致死容疑で義理の父親を逮捕~児童相談センター通告受けるも認定せず~

2018年11月10日

12年前に東京都新宿区で生後11か月の桜井亜衣ちゃんが死亡した事件で、

警視庁が義理の父親を傷害致死容疑で逮捕しました。

 

その後の報道によると、2006年6月に

東京都児童相談センターは、母親から子どもの面倒を見られない、

との相談を受け、亜衣ちゃんを乳児院に一時保護し、

同年12月15日に一時帰宅させ、28日に正式に解除としました。

その直後、事件は起きました。

そして当時、病院から、「虐待の疑いがある」と

通告を受けたにも関わらず、亜衣ちゃんがなくなった為、

支援の必要がなくなった、という理由で虐待と認定しませんでした。

つまり、検証もされていない、ということです。

しかも、児童相談センターは、「対応は適切だった」

と発表しています。

 

なぜ、「適切だった」と言ってしまうのでしょうか。

救えたかもしれない命です。

 

リスク要因は確実にありました。

義理の父親である。

加えて、乳児であるにも関わらず、

半年間も親から離れての生活をしていた。

離れていた分、愛着の問題は発生します。

つまりは、子どもが親になつかない、ということです。

 

児童相談所は、親が自発的に

「子どもを預かって欲しい」

と相談してきて子どもを預った場合には、

親が「子どもを帰して欲しい」と言って来たら

子どもを家に帰すのが通常です。

それは、児童相談所が親との信頼関係を重視するからです。

 

ですが、虐待のリスクがあれば、親がどれだけ

子どもを帰して欲しいと言っても、帰さないことは出来ます。

その権限が児童相談所にはあるのですから。

 

児童相談センターは「対応は適切だった」と言っていますが、

適切であったのなら、なぜ事件は起きたのでしょうか。

調査の中で、虐待のリスクが見抜けなかったのは

明らかに調査、判断ミスです。

小池都知事のコメントの中に、

「きちんと手順を踏んだ」

ともありますが形だけ手順を踏めばよいという訳ではありません。

実際、警視庁は、日常的に虐待があったことを

疑っているのです。

 

病院からの通告はきちんと虐待と認定すべきでした。

そして、虐待死亡事例として、検証すべきでした。

虐待死亡事例なのですから。

児童相談所は何を見落とし、何を間違えたのか。

これからでも、やるべきです。

そして公表すべきです。

今後、職員が同じ間違いを起こさないよう、

全国にも検証結果を発表すべきです。

でなければ、虐待死はなくなりません。

 

今月は児童虐待防止月間。

児童相談所の努力が望まれます。

 

 

 

 

東京都「LINE」で児童虐待相談 全国初

2018年11月01日

東京都が児童虐待防止月間である11月、

LINEでの児童虐待相談の窓口を開設しました。

http://www.news24.jp/nnn/news162118522.html

これは、東京都からの申し入れではなく、

LINEからの提案で行われるものです。

 

通告はためらわれるし、電話すること自体、

ハードルが高い、という人は、たくさんいます。

だから、LINEなら相談出来る、という人は必ずいて、

件数は増えるのではないかと思われます。

 

重要なのは今回の結果をきちんと東京都が公表することです。

今回の2週間でどれだけの相談があったのか、その件数。

そして、その中で警察や児童相談所の関わりが必要な

深刻な虐待は何件あったのか。

今までの、児童相談所への通報と比較したデータも公表して欲しいです。

その結果、LINE相談窓口を設ける事で、

どんな成果が出せるのか。

LINE相談窓口で相談を受け、児童相談所につなぐ必要がない

相談がかなりの数あって、児童相談所の負担が減る結果につながるのか。

児童虐待の早期発見につながるのか。

 

ただ「やりました」だけでは意味がありません。

児童虐待防止に、どんな方法が効果があるのか、

検証し、結果を公表し、さらに新たな方法を検討することが重要です。

 

LINEでの相談窓口開設には必ず意味があるはずです。

だからこそ、公表して欲しいと思います。

 

そして役所は自前でどうにかしようとせず、

今後もこうした民間の技術を取り入れていって欲しいと思います。

 

港区一等地に児童相談所設置に賛否

2018年10月17日

港区が南青山に児童相談所の設置を決め、

地元住民からは、反対の声も多くあがっています。

この件、で昨日、フジテレビの

「直撃LIVE グッディ」に生出演しました。

番組の中で、住民説明会の中での住民と区職員との

やり取りの音声も聞きました。

 

地元住民が反対する理由の一つは総額100億円という資金。

なぜ100億もかけて、一等地に立てる必要があるのか、

もっと別の場所があるのではないか、などの意見が出ていました。

確かに、なぜ土地の価格が銀座に並ぶほど高額な、

南青山に児童相談所を設置するのか、その説明は不十分と私も思いました。

ただ、なぜ南青山ではいけないのか。

それに関する地元住民の意見の中には

「南青山にふさわしくない」

「外国人観光客になんのアピールもない」

などの他、

「なぜ100億もかけて触法少年のための施設を作るのか」

という意見、そして触法少年を保護する施設を作ることでの

治安の乱れを心配する住民の声もありました。

 

住民の声を聞くことで、児童相談所というのは

本当にイメージが悪いんだな、ということが

とてもよくわかりました。

 

住民の方々の不安も理解出来ない訳ではありません。

ですが、法に触れる行為をした子どもたちも、

親から虐待を受けていたり、心の傷が非行の原因になっていたりもするのです。

そして、虐待を受け、助けてあげなくてはいけない子どもが

たくさんいるのも事実です。

 

そして、児童相談所が子どもを預かる、一時保護所というのは

子どもを外には出すことはしません。

それは子どもの安全を守る為です。

そして、子どもが暴れたり、一時保護所から逃げたりしないよう、

管理は徹底されています。

騒音公害の懸念も出ていましたが、

防音対策も必ずします。

 

何より理解して欲しいのは、

児童相談所は子どもを救う場所であり、

子どもを幸せにしてあげる場所です。

児童相談所が設置されることにより、

悪いことが起こると思って欲しくないです。

港区の品位が下がる、という意見もありましたが、

そんな風に思って欲しくない、と思います。

 

ただ、港区側の説明不十分さも指摘出来ます。

配ったチラシは計500枚。

土地買収後にホームページを開き、

区民全体への説明会はつい先日。

 

これから、東京都の児童相談所は各区に移管されてゆきます。

各区で、同様のことが起こると思います。

どうしたら区民に納得してもらえるか。

その方法を各区で検討する必要もありますし、

児童相談所とはどういう所かを理解してもらう必要もあると思います。

 

 

児童相談所虐待サイン見逃す 女児重症

2018年10月09日

愛知県一宮市児童相談センターが虐待の疑いの通報が入ったにも関わらず、

対応せずに2か月後に3歳の女の子が腹部に重傷を負い

入院していたことが分かりました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36250120Z01C18A0CN0000/

 

当初の通報で、児童相談所が子どもを保護しなかったのは、

怪我の程度が軽微で、母親とも話が出来ていたから、との報道もあります。

 

前回のブログで、目黒の船戸結愛ちゃんの虐待死検証報告から、

さらに児童相談所の問題点について書きました。

 

やはり大きな問題は、児童相談所が子どもを強制的に保護出来る

権限を持ちながら、親との信頼関係を結べ、と言われる点です。

 

愛知の児童相談センターの担当職員も、親との関係を優先したのでしょう。

話が出来るから。

必要があれば指導出来る。

そう思って、それ以上深く踏み込まない児童福祉司はいます。

そして、その担当児童福祉司の判断が本当に正しいのかどうか、

そのチェック機能がないのも児童相談所の問題です。

判断は、児童福祉司個人の裁量に委ねられ、誰もチェックはしないのです。

船戸結愛ちゃんの事件でも、香川の伝え方に問題があったにせよ、

東京の品川児童相談所がチェック機能を働かせていれば、

事件は防げたかもしれないのです。

 

児童虐待件数は過去最高。

以前から書いている通り、児童虐待に関する知識がない

自治体職員が児童相談所で

「児童福祉司」として専門家として働くことは

もはや許されることではありません。

 

児童虐待を増やさない為には

児童相談所の構造上の問題を解決することが必要です。

個々の事件の検証も必要ですが、

児童相談所という組織を変える必要があるのです。

 

 

目黒虐待死事件 検証報告 専門委「あぜんとした」 児相問題点再検証

2018年10月05日

目黒で5歳の女の子、船戸 結愛ちゃんが両親の虐待によって

亡くなってしまった事件の検証報告が発表されました。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20181003-00000532-san-soci

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6298938

 

ヤフーニュースには、専門委が「あぜんとした」

とあります。

私も驚きました。

 

香川は2度、結愛ちゃんを一時保護しておきながら

リスクアセスメントシートを作成していなかった。

また危険度を中程度から変更しなかった。

東京への転居を理由に、指導措置を解除していた。

東京への移管に際しても、虐待の証拠となる写真も送っておらず、

東京が危険性を認識出来なかった、などの問題点が指摘されています。

また、香川は、2度結愛ちゃんを一時保護しながら

「怪我の時期が特定できない」という理由で家裁に

施設入所の申し立てをしませんでした。

病院から、「施設入所が必要」との訴えがあったのにも関わらず、です。

 

香川の児相は反論しているそうです。

反論の余地があるとは思えないですが。

しかも人手不足を理由の一つにしているのも理解出来ません。

 

香川県の児童相談所に非があるのは明らかです。

責任は重いと言えるでしょう。

リスクアセスメントシートを作成しなかったのは、

手引き違反と指摘されており、お役所にありがちな「怠慢」だったかもしれません。

ですが、リスクアセスメントシートを、作成していたとしても、

香川の方針は変わらなかったように私は思います。

香川の児相は、そもそも、結愛ちゃんの家庭の

虐待を、深刻、と判断していなかったのではないでしょうか。

だから、家庭裁判所に結愛ちゃんの施設入所の申し立てをしなかった。

それはつまり、強制的な親子分離は必要ない、と判断した、ということです。

だからこそ、東京の品川児童相談所に虐待の深刻度が

伝わらず、香川の児相は事件後の取材に

「こんなことになるとは思わなかった」

と平然と答えたのではないでしょうか。

 

香川の責任は重いと言えますが、

それでも、東京の品川児相が、今までの経緯から

虐待の深刻度に気付くことは出来たはずだ、と私は思います。

転居も、虐待のレッテルから逃れるためであり、

転居を機に虐待が再発する可能性が高い、と

考えることは出来たはずです。

 

それでも、品川児相は、2度の家庭訪問で、

母親に拒否され、結愛ちゃんの姿を見ることなく、帰ってしまいました。

その点は品川児相の判断ミスです。

結果、事件は起きてしまったのです。

 

こうした香川と東京の児童相談所の対応に問題が

生じた原因には、児童相談所の構造上の問題があります。

 

児童相談所は子どもを親の許可なく強制的に保護する権限が

ある一方で、虐待する親と信頼関係を作れ、と言われます。

この矛盾する役割を児童相談所が担わなければならない為に、

子どもの安全が優先されない場合があるのも事実です。

 

香川の児相が結愛ちゃんを施設に入れようとしなかったのは

親が拒否したからに違いなく、

それは親との関係を優先したからに違いありません。

親が強硬に反対するから、子どもを施設に入れない。

どこの児童相談所でもありがちなことです。

 

国は、現認出来ない子どもは原則立ち入り、

という方針を出しましたが、そもそも児童相談所は

立ち入り権限を持っています。

目黒の事件でも、母親が玄関を開けてくれたのなら

その場で児童相談所職員は強制的に家に入ることは出来たのです。

それでも入らなかったはやはり親との関係を優先したからです。

 

原則立ち入りを実現する為には、子どもの

姿を現認出来ない場合は、その場で児童相談所の

職員が110番し、警察官に来てもらい、

警察官と一緒に子どもの姿を確認する、

などのルール作りが必要です。

今までも権限があったのに、立ち入りして来なかった児相が、

国が方針を出したから、とやるようになるとは思えます。

警察のと全件共有も役割分担が不明確で、十分とは言えなません。

警察も情報だけもらっても何をしたらよいか

分からなくて困るでしょう。

 

そして児童福祉司の増員も解決にはつながりません。

現在、多くの自治体において、児童福祉司は自治体の職員でしかないのです。

児童福祉司は資格名ではなく職名に過ぎません。

児童相談所は自治体職員が配属される職場の一つに過ぎないのです。

 

つまり、児童虐待に関する知識が全くない素人や、

児童相談所で働きたくないと思っている人間が

子どもの命に関わる重要な判断を行っている、ということです。

だから判断ミスが起こるのです。

 

私が勤めていた間も、その後も、児童相談所の職員は

増え続けました。それでも児童虐待は増え続けています。

児童虐待件数は過去最悪の3万件を超えました。

今までと同じようにただ人手を増やすだけでは、何も変わりません。

 

児童相談所を本当に子どもを救える組織にするには、

児童相談所の構造的な問題を解決することが必要です。

まずは、子どもの安全を絶対的に優先する虐待対策チームと

親との関係作りに徹する指導チームに分けることが必要です。

 

そして職員採用も、児童相談所職員採用にすべきであって、

その後の育成にも時間をかける必要があります。

児童相談所というのは極めて特殊な職場であって、

虐待に関する知識があったり、相談経験があるだけでは

十分ではありません。

家庭裁判所職員や、国税専門官のように、

採用後の育成に時間をかけるべきなのです。

 

そしてそもそも、児童相談所が児童虐待の専門機関ではない

ということも大きな問題です。

 

今後、虐待死をなくす為に、児童虐待を減らすためには、

今まで繰り返した来た対処療法ではなく、

児童相談所の構造的問題を根本的に解決する、

という覚悟が国には必要です。