office yamawaki

山脇由貴子心理オフィス

〒104-0061 中央区銀座8-17-5 アイオス銀座

営業時間:12:00~19:00(最終予約) (土日も予約可)

電話番号:03-3248-8813

ホームプロフィールブログ

ブログ

大阪府寝屋川市16年間娘を監禁 33歳娘凍死事件~家庭内暴力に苦しむ親

2017年12月27日
大阪府寝屋川市で、両親が16年間娘を監禁し、
33歳の娘が、監禁されていたプレハブ小屋で凍死した、
という事件が報道されています。
容疑者である母親は
「娘に、16~17歳頃から精神疾患があり、
 暴れるので監禁した」
と述べているそうです。

朝の情報番組では、
「親のする事ではない」
「虐待だ」
「精神疾患があったのなら、治療すべきだった」
とコメンテーターの方々がコメントしていました。

両親によるひどい虐待。
私には、この事件はそうとは思えないのです。

娘さんに精神疾患があったのかどうかは分かりません。
ですが、私は今までたくさんの、子どもの家庭内暴力に
苦しむ親御さんに会って来ました。
そして親御さんたちは皆、言っていました。
「治療を受けさせたい。
 相談にも乗って欲しい。
 でも、どこに行っても、
 『本人を連れて来ない限り、何も出来ない』
 と、言われてしまうんです」
と。
些細なきっかけで暴れる子どもに、
病院に行きましょうなんて、とても言えない。
「『病院に行こう』なんて言ったら、
 殺されてしまうかもしれません」
そう言った、お母さんもいました。

このご両親もそうだったのかもしれません。
16年前では、なおの事、相談場所を見つけるのは
大変だったかもしれません。

暴れて、家の中を壊す、両親に暴力を振るう、
そんな娘を、両親はどうする事も出来ず、
誰にも相談出来なかったのかもしれません。
ご近所の目を気にしていたのかもしれません。

そして、自分達でどうにかするしかない。
そう決断した。
だから、監禁した。

許される事ではありません。
でも、他にどうする事も出来なかったのではないでしょうか。

そして、両親がその家に住んでいる気配を
近所の方は感じなかったそうです。

両親は、娘を監禁したと同時に、決めたのではないでしょうか。
自分達も、娘と一緒に身を潜めて、存在を消して生きて行こう。
それしかない、と。
それは、監禁が許されないからでもあり、
娘を誰にも渡さない為だったのかもしれません。

子どもがどんなに暴れても、警察に通報したり、
強制的に入院させる事を望まない親御さんはたくさんいます。
子どもに恨まれるから。
子どもが可哀想だから。
そんな、思いで。

時間が経過してゆくうちに、両親の感覚も
麻痺していたのではないでしょうか。
娘を監禁していることが日常になり、
何も訴えない娘への食事の頻度も減り
繰り返しになりますが、両親の行為は許される事ではありません。
でも、私には、今も子どもの家庭内暴力に苦しみ、
この事件を他人事とは思えずにいる、
お父さんやお母さんがいる気がしてならないのです。
その悩みを誰にも相談出来ないまま。

この両親にも、誰か相談出来る人がいれば。
娘を治療につなげる手伝いをしてくれる人がいたら。
何かが変わっていたかもしれません。

この事件も、どうして両親がこんな事をしてしまったのか、
丁寧に追い続け、報道して欲しいと思うのです。

大阪府箕面市 4歳児虐待死事件~市と児童相談所の対応の問題点~

2017年12月26日

大阪府箕面市で、4歳の男の子が虐待によって殺された事件が報道されています。

https://mainichi.jp/articles/20171226/k00/00m/040/037000c

箕面市は、対応に不備があった事を認めていますが・・・
それでも、この家庭への対応は、問題点が多すぎると思うのです。

まず、母親がまだ若い事。
そして子どもは2人とも幼児さんである事。
子どもは小さければ小さいほど、
虐待から逃げることは出来ません。

そして、母の交際相手、さらにはその男性の友人が同居。
男性2人は無職。
信じられません。母親が養っていた、という事なのでしょうか。
母の交際相手にとって、子ども達は他人。
その友人となれば、子どもは全くの他人です。
「可愛い」とは思えないのは当然。
一部報道では、男性達が、
「しつけの為に叩いた」
と言っている、伝えられていますが、
「叩く」というのは、怒りであり、しつけではありません。
そして彼らは子どものしつけなんて、してはならないのです。

昨年夏頃から、服の汚れの目立ちや異臭、
ネグレクト(育児放棄)が疑われていました。
その時点で、児童相談所は母親の養育能力が低いのでは、
と疑ったはずです。
この時点で、母親の育児へのサポート体制が
作られるべきでした。

保育園には先月17日からほとんど登園していなかったそうです。
これはかなりのハイリスク要因です。
男性達が同居を開始したのが1か月ほど前。
つまり、男性達が同居を開始した頃から
子どもの姿が確認出来なくなった。
保育園に行かせていなかったのは、
男性達からの暴力による傷、あざを見せない為としか思えません。

そして保育園職員が今月9日に家庭訪問した時には
次男の頬に痣があった。
母親は「階段から落ちた」と説明した。

即、保護すべきでした。
久しぶりに確認出来た子どもの姿に異変があったのですから。
保護しなかったのは、母親の説明を信じたからなのでしょうか。
同居している男性2人からの虐待を疑わなかったのでしょうか。
信じられないです。

「家庭訪問を検討していたが、日程調整が出来ず」
「もっと早く対応していれば状況は変わったかもしれない」
こんな言い訳も、役所らし過ぎて、呆れてしまいます。
子ども1人が助けられたはずなのに。

こういう事件が起こるから、児童相談所に子どもを保護されてしまった
お父さんやお母さんが
「うちよりも、もっとひどい事をしている親がいる」
と言うのです。

改めて、子どもの虐待死を防ぐには、児童相談所だけでは
もう無理なのだと思います。
子どもを保護すべきかどうかの判断も、
親の言い分を信じるか同課の判断も
児童相談所ではない、専門機関による
チェック機能を作らなくてはならないと思うのです。

そして、報道の方々も、相撲界の話題も良いですが、
こうした事件も、丁寧に追い続けて報道して欲しいと思うのです。

奈良 同級生の息子を刺した母親と、愛知 2歳の息子に睡眠導入剤を飲ませたお母さん

2017年12月08日

奈良県で、息子の同級生の女の子を自宅で刺した
母親
が逮捕された事件が報道されています。

http://mainichi.jp/articles/20171208/k00/00m/040/143000c

朝の情報番組によれば、母親は、息子がいじめられていた
と思っていた、という情報もあった、と伝えられていました。

このお母さんがどうして息子の同級生の女の子を刺したのか。
その原因はもちろん分かりません。これから解明されてゆくのだと思います。

私がこのニュースを見て、最初に考えたのはお母さんの孤独でした。
この女性を擁護する訳ではありません。
でも、どうしてこんな事をしたのか。
その行動のベースには、誰かに頼るのではなく、
自分でどうにかしなくては、という追い詰められた精神状態が
あったのではないか、という気がするのです。

いじめがあったのかどうかは分かりませんが、
お母さんには、女の子をどうしても刺さなくては、
と思う何かがあったのだとしたら。

相談出来る人がいない。
頼れる人がいない。
相談しても誰も相手にしてくれない。

そんな思いがあったのかもしれない、と思うのです。

そして、愛知での2歳の息子に睡眠導入剤を飲ませ、
殺そうとした母親。

http://www.asahi.com/articles/ASKD66GR3KD6OIPE01Q.html

ひどい母親。

私には、そうは思えなかったのです。
育児に、悩んでいたのだと思います。
そして、やっぱり相談出来る人、
救ってくれる人に出逢えなくて。
相談出来る場所、児童相談所がある事も知らなかったのかもしれません。

だから自分でどうにかするしかない、そう思ってしまった。

児童相談所で色々なお母さんの悩みを聞いている時、
多くのお母さんが言いました。
「子どもを可愛がれないなんて、
 相談したら、怒られると思って、
 なかなか相談に来られませんでした」

お母さん達にとって、「相談する」って意外にハードルが
高いものです。
相談して良かった、と思える場所も少ないのです。

子どもに危害を加える母親を減らす為に。
孤独なお母さんをどうやって救えるのか。
孤独なお母さん達が相談出来る場所をどう作るか。
それが重要な気がします。
つまり、子どもに対してと同じことなんだな、と。
どちらも、子どもを守ることにつながるんだ、と思うのです。

札幌女性殺傷、12歳少年を児相通告~少年の今後と児童相談所の関わり~

2017年11月28日

札幌市で、12歳の少年が女性を殺傷した事件が報道されています。

https://mainichi.jp/articles/20171128/k00/00m/040/196000c

報道にあるように、
「人を殺すことを想像した」
「人を傷つけたい気持ちがあった」
という少年の供述は、信じられない方も多いと思います。

でも私は、児童相談所で働いていた頃、
同じような気持ちを持った子どもに会った事がありました。
少年は、確かに「普通の子」とは違いますが、
他にも、同じような子どもはいるかもしれない。
その事は、大人は知っておかなくてはならないと思います。

少年は、警察からの通告で児童相談所に一時保護されています。
まず、警察からの通告とは、14歳未満の少年は刑罰の対象にならないので、
警察が児童相談所に少年の今後の方針や、指導を委ねるのが
「通告」です。そこから児童相談所に一時保護となる場合と
在宅のまま調査や指導が行われる場合があります。
当然ですが、少年が家で生活を続けることが危険な場合は
即、一時保護となる訳です。

警察はこれから、殺人未遂で、少年を児童相談所に送致する、
と報道の中にありますが、「送致」とは、「通告」よりも
重たい措置です。
重大犯罪の場合に、児童相談所に「送致」される訳です。
児童相談所側の受け止めも、重たくなります。

そして今、少年は児童相談所の一時保護所にいると思われますが、
今後は、児童相談所から家庭裁判所送致、となるでしょう。
警察から「送致」された子どもの全てが、
家庭裁判所に送致される訳ではありません。
児童相談所が児童相談所の判断で施設に入れる場合もあります。

ですが、「殺人未遂」であり、「人を殺す事を想像した」
少年を児童相談所は扱いきれないと思います。
だから、家庭裁判所に、少年の処遇の判断を委ねると思います。

少年の今後の選択肢は3つ。
1.児童自立支援施設
  ここは、児童福祉法の範囲内の施設であり、児童相談所が少年を施設に入れる事が出来ます。
  家庭裁判所の審判で「児童自立支援施設入所」と決定される場合もあります。
2・少年院
  以前に、知り合いの検事さんに聞いた話ですが、裁判所というのは、
  一度も裁判所を裏切った事がない少年をいきなり少年院に入れる、という事は
  まずないのだそうです。
  つまり、家裁の審判で、「もう2度と悪いことはしません」と約束したのに、
  また同じような犯罪を犯した。これが裁判所を裏切った事になるという事らしいです。
  この少年の場合は、過去に家裁の審判を受けた事はないように思いますので、
  少年院はあり得ないのかな、とも思いますが、犯罪の重大性から可能性はあると思います。
3.医療少年院
  この選択肢が濃厚かなと私は勝手に思っています。
  自立支援施設で指導してゆくには重たすぎる。
  そして少年の言動から、医療的ケアを要する可能性はある子かな、
  と思ってもいます。

いずれにせよ、少年の生育歴、犯罪に至った経緯を詳細に調べ、
同じような事を繰り返さない為に、何が必要かの分析が大切ですね。

座間市9遺体事件について、毎日新聞にコメントが載りました。

2017年11月20日

毎日新聞11月18日

先日ブログに書いた、座間市9遺体事件の被害者について、
毎日新聞の取材を受けました。

前にも書いた通りなのですが、
この事件から、大人が知らなくてはいけないのは、
被害者の女の子達は、特別な子達ではなく、
どこにでもいる子たちだ、という事なのだと思うのです。

容疑者は、過去に水商売の女の子のスカウトをしていて
とても口がうまく、
だから容疑者と以前、一緒に住んでいた、
という女性はたくさんいるそうです。

ツイッターでも容疑者とコンタクトをとり、
「もしかしたら私が10人目だったかも」
「あと一歩で私が殺されていたかも」
という女性はたくさんいるそうです。

ふと「死にたい」と思う。
それは、ごく普通の生活を送っている人でもある事です。
そして、子ども達は、失うものがないから、
「死」は大人よりも身近です。
私も、児童相談所で働いている時から、
死にたい気持ちを抑えられない子、
大人になった今でも苦しんでいる子に
たくさん会って来ましたし、
今も会い続けています。

自分の子どもが、自分の教え子が、
自分の身近な子ども達が、そんな気持ちになった事はないか。
意外に、大人達は知らないものです。

子どもはなかなか話してくれないから。

被害者の予備軍はたくさんいるはずです。
今もSNSに書き込みをしていたり、
自殺サイトを覗いていたり。

子どもは話してくれないから。
だから大人が察してあげなきゃいけないのだと思うのです。
そして子どもが「相談したい」という大人にならなくては。
何より、「死にたい」なんて思わない、
幸せな毎日を、与えてあげなくては。

私も目指し続けたいと思っています。

座間市9遺体発見事件~なぜ、被害者の女性達は犯人に会いに行ったのか~

2017年11月07日

座間市のアパートで9人の遺体が発見された事件は、衝撃的でした。
報道も、続いています。

報道を見ていて思いました。
犯人が9人殺した動機や方法を調べる事は
もちろん大事だけれど、
なぜ被害女性達が、犯人に会いに行ったのか。
それを考える事も重要だと思うのです。

でも、児童相談所で働いている時から、
私もたくさん出会って来ました。
ネットで知り合った男性に会いに行ってしまう女の子。
北海道まで行ってしまう中学生の女の子もいました。

犯人は自殺サイトで被害女性達と知り合った、と報道されています。
そして、犯人は、「本当に死にたい人は1人もいなかった」と
言っている、とも。

犯人の言葉が真実かは分かりませんが、
私が出逢って来た、自殺サイトに書き込みをする女の子達が
本当に訴えたいのは、
「死にたい」という事ではありませんでした。

彼女達が苦しんでいるのは、どうしようもない「孤独」でした。
家族がいても、友だちがいても、誰も自分の苦しみを理解してくれない。
本当の悩みを打ち明けられない。
だから、ネットの中で、理解してくれる人を探すのです。
そして抱えている孤独があまりに強い為、
ネットの中で優しくしてくれて、
自分の気持ちを理解してくれるような事を
言ってくれる人に出逢ってしまうと、
実際にその人に、会いに行ってしまうのです。
そして、犯罪被害にあってしまう。

今回のような、殺人にまでは至らずとも、
性犯罪被害にあってしまった女の子はたくさんいます。
風俗で働かされた子もいました。
報道されないので、知られていないのです。

こうした事件が繰り返されない為に。
その為に必要な事は、どうしようもない孤独を抱えている
子どもや大人をどう救うか。
それがとても重要だと思うのです。

自殺サイトを管理する事も必要だし、
電話相談を充実させる事も大事かもしれませんが。
でも、現実に苦しんでいる子どもや人達は救われていないのです。

どうしたら苦しんでいる子どもや大人が、
誰か、相談出来る人を見つけられるか。
それは逆に言えば、家族や身近な人に
相談出来る人がいない、という事でもあります。

以前から書いていますが、やっぱり大人が、
自分の身近な子どもにとって「相談したい」
と思える大人になるしかないと思うのです。

帰宅恐怖症候群と「離婚約」~夫婦のすれ違い~

2017年10月27日

先日、今、話題になっている夫婦のすれ違いについて書きました。
そして今、男性の「帰宅恐怖症候群」が増えている事が
NHKで取り上げられていました。
さらに、お笑いのインスタントジョンソンのじゃいさんが
奥さんと4年後に離婚する約束をし、
「離婚約」という本を書き、こちらも話題になっているそうです。

どちらも、究極の夫婦のすれ違い、という感じですね。

帰宅恐怖症候群とは、奥さんが怖くて、
家に帰りたくなくて、仕事が終わった後、
街をブラブラしたり、公園で時間を潰す、
という男性達です。
家に帰ると、些細な事で、奥さんに怒られてばかりなんだそうです。
例えば、旦那さんがソファに座った後、ソファカバーがずれたままにしておくとか。
中には精神科に通う人もいるようです。

児童相談所で働いている時には、
とてもよく出会いました。
家に帰りたくない、というお父さん。
やはり、家に帰ると、奥さんが怒鳴ってばかりいる、
責められてばかりだから、家に帰りたくない、と。
中には、絶対に奥さんには見せられない、
と言いながら、離婚届をお守りとして
鞄の中にずっと入れて持ち歩いているお父さんもいました。

奥さんと離婚する約束をした
じゃいさんは、突然奥さんから
4年後に離婚して欲しい、と言われたそうです。
じゃいさんの方は、奥さんが大好きなんだそうです。
ショックだったでしょうね。
そして今も辛いでしょうね。

どうして世の旦那さんは奥さんに嫌われてしまうのでしょう。
怒られてばかりなのでしょう。

多くのメディアや専門家は
男性が育児の大変さを理解していない、とか。
家事を分担すべきだ、とか。
夫婦のコミュニケーションを増やさなくては、とか、
アドバイスをしています。

でも私は、児童相談所でたくさんの家族を見て来て、
確信していることがあります。

それは、家族の幸せは、お母さんの幸せにかかっている、という事です。
お母さんが幸せならば、子どもも幸せ。お父さんも幸せ。
だから家族全体が幸せ。

なので夫婦間の問題を解決するためには、
義務として、家事を分担するとか、
義務として子育てを手伝う事では解決されないんです。

旦那さんが奥さんの事を精一杯幸せにするために頑張る事。
もちろん、家は居心地が良い場所であるべきなので、
必死に努力して下さい、という事ではありません。

でも、奥さんが毎日楽しく、機嫌よく過ごしていれば、
自然に家庭の中は明るくなるし、
旦那さんにも優しくしてくれるはずなんです。
ごく当たり前の理想論、って言われそうですが。

そして、家に帰るのが怖い、というお父さん達には、
絶対に気づいて欲しい事があります。
お父さんは、外で時間を潰して、家に帰らずにいれば、
奥さんに怒られずに済むかもしれません。
でも、お父さんが家に帰らないその間、
子どもはお父さんと同じように怒られているはずです。

お母さんの怒りの原因は、お父さんだけにある訳じゃないんです。
本当は。
自分の毎日が、幸せじゃない。満たされない。
その事に怒っているんです。
だからその怒りは、お父さんがいなければ、子どもに向いてしまうんです。

だからこそ、子どもの為にも、自分の為にも、
そして家族の為に、お父さんには頑張って欲しいですね。

全国初、児童虐待で検事研修~性的虐待と司法面接~

2017年10月03日

増加する児童虐待への対応強化の為、最高裁と法務省が、
初めて、検事を対象とする研修を開いた事が報道されました。
「増加する難事件「児童虐待」 密室で証拠少なく…検事の捜査能力向上狙い、法務省と最高検が検事研修」
http://www.sankei.com/affairs/news/170925/afr1709250025-n1.html

その後、産経新聞で、「司法面接」について、記事が載りました。
「無罪相次ぐ児童虐待 切り札は「司法面接」 子供の心を開く“魔法のアプローチ”とは」
http://www.sankei.com/premium/news/171001/prm1710010018-n1.html

司法面接とは、英語のフォレンジック・インタビューを訳した言葉です。
被害者である子どもの負担を減らす為、辛い体験について聞くのは
1回だけにするのが目的です。

私も、児童相談所で働いていた時は、たくさんの性的虐待を受けた
女の子達に会って来ました。
加害者は、お母さんの内縁の夫や恋人、義理の父親、
実の父親もいました。

当然、被害について聞かなくてはなりませんでした。
東京の児童相談所の中では、かなり前から、
この司法面接の研修が行われており、
主に児童心理司、つまり心理職がこの聞き取りをしていました。

私が担当していた子の中には、警察と検察での
事情聴取を受けた子もいました。
今から10年ほど前なので、当時は本当にひどかったです。

警察で何度も事情聴取され。そして現場検証。
さらに検察庁に何度も呼ばれ、事情聴取。
何度も同じことを聞かれているうちに、子どもの記憶は
当然混乱し、前回の聴取と違うことを言ってしまう事は
何度もありました。
その時の担当検事は、「前回と言っていることが違う!」
と子どもに向かって怒ってしまう人でした。

私は全ての聴取に立ち合いましたが、大人でも耐えられないな、と思いました。
この制度を本当になんとかしなければ。
ずっと思って来た事だったので、
検事さん達が、専門知識を得て、子どもの聞き取りを
1回だけで済ませられるようになったら、本当に良い事だと思います。

ですが、特に性的虐待は立件されるのは本当に氷山の一角です。
被害にあった子ども達は、被害届を出したがらないのです。

その理由は、まず、逆恨みが怖いから。
そして、悲しい事ですが、お母さんが望まないから。
娘への性的虐待が発覚しても、離婚しない、別れない。
そんなお母さんは実際にいるのです。
そして、性的虐待の被害を告白した子どもの多くは、
後悔し続けるのです。

私のせいで家族を滅茶苦茶にしてしまった。
家族を壊してしまった。
言わなければ良かった。
私さえ、我慢していれば。

そう思ってしまう事への心のケアこそ、
最も重要と言えます。

司法面接制度が整うと並行して、
子どもの心のケアの制度も整う事が必要だと思います。

夫婦のすれ違いが生まれる理由~夫婦の会話がない・夫への不満の心理学的分析~

2017年09月15日

夫婦のすれ違いが話題になっているそうですね。
話題になっている漫画もあるそうで、
先週のフジテレビの番組「ノンストップ!」でも
取り上げられていました。

私が児童相談所で働いていた頃も、
子どもの問題やお母さんが子どもを可愛がれない原因が
実は夫婦関係にあった、という事はありました。
今でも、ご主人への不満を抱えている女性は
オフィスにカウンセリングにいらしています。

夫婦のすれ違いの原因、私なりに分析すると・・・

例えば、奥さんは、今日すごく嫌な事がありました。
ママ友と喧嘩になったとか。
職場で同僚に悪口を言われているのを知ったとか。

話を聞いて欲しい!
そんな気持ちでご主人の帰りを待っています。
そして帰って来たご主人に
「ちょっと聞いて!今日、すごく嫌な事があって!」
と話をします。
すると、一通り話を聞いたご主人が言うのです。
「それは、お前も悪かったんじゃないか?」

これ、とってもよくある話です。
でも、ご主人にすれば、
「良かれと思って」
なんですね。

日本人の男性というのは、特に子どもや奥さんに対して
「正しいことを言わなくてはいけない」
「アドバイスをしなくてはいけない」
と思っている人がとても多いのです。

だから、奥さんと娘さんが楽しそうに
テレビ番組の話をしていたりすると、
急に娘さんに向かって、
「お前、ちゃんと勉強はしてるのか!」
とか言い出すののです。
だからお父さんは嫌われちゃう。

つまり、嫌なことがあった、と話している奥さんに対しても
同じような思いをしないように、という
良かれと思ってのアドバイスな訳です。

でも、奥さんにすれば、
「あなただからこそ、聞いて欲しくて
 分かって欲しくて、一緒に怒って欲しかった」
なのです。
奥さんにとって、今日あった嫌な事は、
まだ心の中で終わってないんです。
ご主人に、
「それはひどいよな」
と共感してもらえれば、終わりに出来たのに。

なのにお説教なんて、だったら、もう2度と話なんかしないから!

そういう気持ちになってしまう訳です。
だから余計に関係が悪くなってしまう。

なので私は、とにかく世の結婚している男性に
「奥さんの愚痴はきちんと聞いて、
 最後に共感してあげて下さいね」
とお話しています。
これこそ、夫婦円満の秘訣。

実践して下さった男性は、実際、夫婦仲が良くなった、
と実感して下さっています。

男性のみなさん、女性の話には共感してあげて下さいね。

児童相談所が子どもを『拉致』と言われる理由~一時保護から施設入所、そのやり方、詐欺に似てませんか?~

2017年09月07日

児童相談所に子どもを拉致された。
そんな言葉をネットで見るたびに、
どうして「拉致」と言われてしまうんだろう。
ずっと考えていることです。

もちろん、親御さんにすれば、
いきなり子どもを連れて行かれてしまうんですから、
「拉致」と思っても仕方がありません。
でも、改めて、児童相談所が子どもを保護してからの
経緯を考えてみました。

児童相談所が児童虐待の疑いで子どもを保護する。
そして、「家には帰せない」と児童相談所が判断、
あるいは子どもが「家に帰りたくない」と言う。
その場合のその後の流れです。

児童相談所は親御さんにお子さんを保護した事を伝えます。
居場所は教えられない。
子どもの様子も
「元気です。規則正しい生活をしています」
くらいしか教えてもらえません。

そして、
「家には帰せませんので、施設入所の承諾書にサインして下さい」
と言われます。
親御さんが承諾出来ない、と言うと
「承諾してもらえないなら、裁判になります。
 お子さんにも会えません。」
と言われます。

この一言、怖いですよね。
もちろん、児童相談所は権限があっての発言なのですが、
親御さんにとってみれば、脅しのような言葉です。

そして、
「承諾して頂ければ、お子さんには会えます。」
と言われます。
ここで、多くの親御さんは承諾書にサインしてしまいます。
どうしたって、子どもに会いたい。
そう思うからです。
それに、裁判なんて、嫌だからです。

すると今度は、
「承諾して頂いたので、施設入所の措置費を
 負担して頂くことになります」
と言われます。
収入に応じてですが、子どもが施設で生活することになると、
親御さんは費用を負担しなくてはならなくなります。

そして、親御さんが
「いつ帰してもらえるんですか?」
と聞くと
「それは分かりません」
と言われます。
承諾書にサインをした以上、児童相談所は
子どもを18歳まで措置し続けることが出来るのです。

つまり、すごーく簡単に言ってしまえば。

子どもを預かりました。
施設入所、つまり長期間離れて生活することに
同意しなければ、裁判になります。
子どもにも会えません。
でも同意してくれるなら、
子どもには会えます。
でもお金は払って下さい。
そしていつ帰すかは私たちが決めるのでわかりません。

という事。
これだけ見ると、詐欺に似てませんか?

もちろん、児童相談所は法的権限があってやっているので、
違法、という事にはなりません。

でも、だからこそ、何がきっかけで
子どもを児童相談所に保護されてしまうのか。
保護されたらどうなるのか。
承諾書にサインをする、とはどういう意味なのか。
何が起こるのか。

そういうことを、多くの方に知ってもらうべきですよね。
そして、何より、児童相談所は
もっともっと、丁寧に説明をすべきだと思うのです。

今も、子どもを保護されてしまって
苦しんでいる親御さんや、
承諾書にサインをしてしまって
後悔している親御さんがいるのだろう、と思います。

子どもを児童相談所に保護されてしまったお父さん、お母さんのお悩み~児童養護施設からの進学と自立~

2017年09月05日

先日からブログに書いています、
高校生の娘さんを児童相談所に保護されてしまい、
審判中のお父さん、お母さんのお話の続きです。

今、お父さん、お母さんがとても心配されているのは、
娘さんの高校卒業後の進路の事です。
娘さんは、私立の大学への進学を希望しています。
将来の夢があり、学部も決めているのです。

「児童養護施設から、私立の大学には行かれるんですか?」
お母さんは言いました。
「行かれない訳ではありません。」
私は答えました。

実際、児童養護施設から私立の大学に、行かれない訳ではありません。
今は、児童虐待防止法も改正されたので、
最長22歳まで、施設での生活を認められる場合もあります。
その必要性があるごく一部のお子さんですが。

でも、養護施設から大学に進学するというのは、
本当に大変なことです。
以前、私が児童相談所で働いていた頃に、
進学を目指していたお子さんは、塾の費用は
施設から出してもらえませんでした。

そして、当然、学費は子どもが自分で負担します。
返さなくて良い奨学金もありますが、
もらえる子はやはり一部のお子さん。
大半の子どもは、奨学金という形で借金をして
進学します。
そして大学に合格出来たとしても、
やはり大半の子はアパートで一人暮らし。
家賃も生活費も稼がなくてはなりません。
加えて、奨学金で集められるのは大体、学費の初年度分のみ。
だから、家賃と生活費を稼ぎながら、
さらに2年目以降の学費も稼がなくてはならないのです。

大変なことです。

私が担当していたお子さんは、高校卒業後、
私立大学に入学し、アパートでの生活を始めましたが、
1年で辞めてしまいました。
理由は、
「働いてばっかりで、勉強する時間もないし、
 遊ぶことなんて出来ないし、友だちも出来ないし、
 仕事で疲れるばっかりで、大学がちっとも楽しくない」

仕方がないことだな、と思います。
18歳で、働きながら勉強する。
なかなか出来ることではありません。
進学しないで自立する子たちだって大変です。
中には、就職できず、バイトで稼いだ
月12万で一人暮らしをしている子もいます。

娘さんを児童相談所に保護されてしまったお母さんは
娘さんをどうしても希望の大学に入れてあげたいのです。
出来ることなら、苦労なんてせずに。

しかも、児童相談所の担当者は、最初は、
「大学は、施設のお金をかき集めて、行かせます」
と宣言していたそうです。費用はすべて出す、と。
なのに、後になって、お母さんに対して
「娘さんは、大学費用をご両親が出してくれないのでは、
 と不安になっています」
と言い出したんだそうです。

お母さんは「あれ?」と思ったのです。
全部出してくれるんじゃなかったの?
それじゃあ、娘は不安になって当然、と。
余計に心配になってしまいました。
絶対に帰って来て欲しい、と。
塾も行かせたいし、大学も行かせたいから、と。

きっと、児童相談所の担当者は、施設から、
「大学費用全額なんて出せない」
と言われたんでしょうね。
子どもの人生に関わる重大事なのに、
無責任な発言はして欲しくないものです。

ちなみに、児童養護施設からの進学や就職に、
児童相談所の担当者は関わりません。
施設に職員が子どもと一緒に考えるのです。
そもそも、児童相談所の担当者なんて、
コロコロ変わるので、娘さんが高校卒業時に
今の担当者がいるとも限りませんし。

娘さんの人生、どうなってしまうのでしょう。
審判はこれからです。

児童虐待 施設内で144件 16県市、公表義務守らず 14・15年度、69自治体調査(毎日新聞)

2017年08月22日

このニュース。
もっと大きく扱われるべきだと思います。

https://mainichi.jp/articles/20170819/dde/041/040/011000c

児童相談所によって、児童養護施設や里親、知的障害児施設などに
入所となった子どもが、施設職員や里親から虐待を受けた件数です。

そもそも、虐待を受けた子どもが、安全を守る為に行った
施設や里親宅で虐待を受けるなんて、あってはならないことです。
そして、報告義務がある自治体の四分の一が実行していない、
なんて、とんでもない話です。
記事にもあるように、問題意識が希薄過ぎる。
そして厚労省が、2013年度以降、公表していなかった事を
「事務作業が滞っている為」
と言い訳した事も呆れます。
役所の典型の言い訳。

そしてやはり記事にもありますし、
以前私もブログに書きましたが、
厚労省は未就学児の原則施設措置を停止し、
75%を里親に委託することを目標にしましたが、
里親宅でも虐待された子がいる現実があります。

でも、私が一番思ったのは、この公表されている数字は
氷山の一角だろうな、という事です。
施設や里親宅で叩かれたり、怒鳴られたりしても、
誰にも言えずに我慢している子はたくさんいるはずです。
だって、誰かに言ってしまえば、
自分は居場所を失ってしまうから。
そしてまだ十分に自分の気持ちを語れない、
幼児さんもたくさんいます。

そして一番の問題は、この「施設」に一時保護所が含まれていない事です。
児童養護施設や里親さんに措置となった子どもには、
子どもの権利ノートが渡され、
その中には、施設や里親宅で虐待された時に、
外部の窓口に相談出来るハガキも入っていたり、
施設に弁護士さんがオンブズマンとして
入っていたり、自分の権利を主張出来る
方法が与えられています。

でも、一時保護所の子には、何の手段もありません。
保護所にいる間、会えるのは児童相談所の職員だけ。
一時保護所の職員に怒鳴られたり、叩かれたりしても
その事を相談出来る人はいないのです。
子どもの権利ノートも渡されません。
もし、子どもが自分の担当の児童福祉司に相談したとしても、
結局身内同士ですから、それが数字として外部に数字として
出されることはありません。

はっきり言ってしまえば、もみ消されてしまうんですね。

私が児童相談所で働いている時にもありました。
担当している子どもが一時保護所で怒鳴られたり。
高校受験を目前にしている子どもが
一時保護所の職員から
「お前んなんて、高校なんか行けない」
と言われたり。

虐待を受けた子どもが児童相談所が関わった事で
再度傷つけられる。
その現実こそ、報道されるべきです。

厚労省が、全国の一時保護所を調査する事は決まっています。
ぜひ、子どもたちの声を、聴いて欲しいで

児童虐待最悪12万件、「心理的虐待」が半数~その理由~

2017年08月17日

2016年度の全国の児童虐待が過去最悪の12万件、
その半数が「心理的虐待」と報じられました。

http://www.msn.com/ja-jp/news/national/%e5%85%90%e7%ab%a5%e8%99%90%e5%be%85%e3%80%81%e6%9c%80%e6%82%aa%ef%bc%91%ef%bc%92%e4%b8%87%e4%bb%b6%e2%80%a6%e3%80%8c%e5%bf%83%e7%90%86%e7%9a%84%e8%99%90%e5%be%85%e3%80%8d%e3%81%8c%e5%8d%8a%e6%95%b0/ar-AAqeacG?ocid=spartandhp

「児童虐待って実際に増えているんですか?」
と、取材でもよく聞かれます。
数字だけ見れば、激増し続けているように見えます。
でも、私は19年間、児童相談所で働き、
単純に激増し続けている、とは言えないと思っています。

児童相談所への虐待の相談・通報が増え続けているのは確かです。
でも、それは世間の皆さんの認識の高まりが一つ大きな要因です。
虐待が疑われたら、児童相談所に通報しなくてはならない。
子どもに関わる職業の人間は、当然知っています。
そして、東京は、住宅が密集している事も関係していると思いますが、
近隣の方達からの通報がとても多いのです。
私も、児童相談所で働いている時は、
毎日のように、ご近所の方からの通報が入っていました。

子どもの尋常ではない泣き声がする。
大人の怒鳴り声が続いている。
などです。

こうした、世間の意識の高まりによって、
実際、児童虐待を早期に発見出来るようになったのはとても良いことです。
そして、これが児童虐待の通報件数を増やしているとも言え、
つまり、今まで放置されていた、あるいは
発見されなかった虐待も発見されるようになった、という事です。

そして心理的虐待の増加。
これは私も現場で実感していました。
これはいじめにも共通しているのですが、
子どもに対する身体的虐待が減ってきているのです。
つまり、虐待者である親も、学んでいるのです。
傷、あざを残せば、児童相談所がやって来て、
子どもを保護されてしまう事。
そして自分は逮捕されるかもしれないこと。
だから傷、あざは残さない。
児童相談所は必要があれば、子どもの身体の洋服で隠れた部分も確認しますから。
悪質な親は、傷、あざが子どもに出来てしまったら、
保育園や学校を休ませたりもしますが、
しばらく子どもの姿を確認出来なければ、
児童相談所は家庭訪問をして、確認しますから。

だから必然的に、言葉での虐待、
つまりは心理的虐待が増える訳です。
そして、きょうだい間で一人だけ差別する、
なども心理的虐待。
ドメスティック・バイオレンス、
夫婦間暴力を目撃するのも心理的虐待です。

「児童虐待」とみなされる親の行動の幅の広がりも
数字を増やしている要因の一つです。

さらには、児童相談所の統計データの取り方にもからくりがあります。
近隣からの怒鳴り声や泣き声の通報も
児童虐待の疑いがある通報は、児童相談所は
全て「虐待」として受けなければならない、というルールがあります。

ですが、実際調査してみると、虐待ではなかった、
というケースも当然ある訳です。
その場合、「虐待ではなかった」として終了するのですが、
通報を受けた、その入り口が「虐待」であった以上、
この、「虐待ではなかった」ケースも、児童虐待の通報として
カウントされる訳です。
そして、同じご家庭が2度、3度、近隣から通報されれば、
2度目、3度目も新たな虐待としてカウントされます。

なので、虐待通報のうちのどれだけが実際の虐待であったか、
という数字が出されないと、児童虐待が現実にどれだけ増えているのか、
分からないのです。

最近は、近隣トラブルで、虐待通報する人もいますから。

今後は現実に児童虐待があり、児童相談所が継続的に
関わった、という数字が出されるといいな、と思います。

児童相談所に子どもを保護されてしまったお父さん、お母さんのお悩み~児童相談所との裁判~

2017年08月09日

今回は、以前から書いている、高校生の娘さんを
児童相談所に保護されてしまったお父さん、お母さんのお話の続きです。

児童相談所に子どもを保護され、
児童相談所と話合いを繰り返しても
子どもを帰してもらえる見込みはなく、
以前書いた通り、私立高校の保証人も
児童相談所に勝手に変更されてしまった
お父さん、お母さんは、児童相談所に判断を任せるのではなく、
家庭裁判所の審判を希望しました。
そしていよいよ、家庭裁判所からの通知が来ました。

送られて来たのは、
・審判期日の通知と呼び出し状
・児童相談所の「施設入所が必要」という申立書
・その他、事務手続きに関する書類
ざっとこんな内容です。

児童相談所に訴えられた訳ではないのですが、
呼び出された日に行けばよい、という訳ではなく、
お父さん、お母さんも、自分達の主張をしなくてはなりません。
お父さん、お母さんは書記官から、
「答弁書」
を作るように言われました。
そして、お母さんがずっとカウンセリングに通っていた
私の話も聞いて欲しい、と
家庭裁判所に強く希望された為、私も
「陳述書」
を書くことになりました。

私は、児童相談所が作る書類については
経験上よくわかっているので、陳述書を書くのは
さほど大変なことではありません。
ですが、お父さん、お母さんにとって、
「答弁書」を書くのはとても大変なことです。

まず、当たり前に、裁判所に提出する書類とは
どんなものであるべきなのか、一般の人には分かりません。
何をどんな風に書けばよいのも分かりません。
多くの親御さんが弁護士を依頼する気持ちが
分かりました。

ですので、答弁書作りもお手伝いしました。
お手伝いしながら、大変さをさらに実感。
児童相談所の申立書に沿って、
事実に反する事は、反論し、事実を説明する。
このご家庭の場合、児童相談所の書類が、
住民票を見ればわかることから間違っていたので、
そこから間違いを指摘。

そして以前書いた通り、お母さんが子どもの
携帯を見ることを「虐待」とされていたので、
そもそも携帯はお母さんのものであって、
娘のものではない事を説明。

その他、児童相談所が「虐待」と判断している内容について、
間違いの指摘と事実の説明。
さらに、今までの子育ての振り返り、
保護に至ってしまった事についての反省。

今後、どの様な子育てを考えているか、
子どもとの関係修復にどんな方法を考えているか。
協力者には誰がいるか。

出来るだけ詳しく書きました。
そして、気をつけなくてはならないのは、
児童相談所に対する不満があっても
児童相談所への不満や悪口は書かないこと。
そして、感情的にならない事。

お父さん、お母さんは私のアドバイスに従って、
頑張って答弁書を作りました。
ご両親の答弁書と私の陳述書で合計A4 21枚。
力作です。

おかげで、審判当日、裁判官に
「申し分のない答弁書」
と誉めて頂いたそうです。
良かった、よかった。

ただし、審判当日は、
児童相談所とご両親の意向は
やはり一致しない事の確認で終わりました。

なので審判は継続しています。
続きはまた進展があり次第。

厚労省 虐待児ら施設入所停止 里親委託75%目標

2017年08月03日

厚労省が、虐待を受けた子どもの施設入所を原則停止、
里親委託75%を目標とする方針を出しました。

http://mainichi.jp/articles/20170801/k00/00m/040/119000c

非現実的だな、と思います。

里親委託数が少ないのは、里親が少ないことだけが
理由ではないですから。

赤ちゃんであれば、まず発達が順調かどうかを
確認しなくてはなりません。
発達に遅れがある事が委託後に分かると、
里親さんが
「やはり育てられない」
と子どもを児童相談所に帰す可能性があるからです。

そして、自分の子どもがいない里親さんは
児童相談所としては
「育てられるのか?」
と不安になります。
里親委託後の里親さんへのケアや指導は
昔よりは整って来たとは言え、
それでも毎週家庭訪問するなんてことは出来ません。

そして虐待を受けて来た子どもはとにかく
色々な面で手がかかります。
以前にドラマにもなっていましたが、
様々な問題行動を次々にするのです。
お手上げになってしまう里親さんは
少なくありません。
私も、児童相談所で働いていた時に、
里親さんに
「せめて普通の子だったら・・・」
と子どもを帰されてしまった事がありました。
児童相談所が預からなくてはならない子どもを
育てるのはとっても大変ですよ、
と研修の時から何度もお伝えするのですが。

そして里親さんだって、出来る事なら
長期間育てたいと思います。
里親さんの中には、児童相談所の勝手な都合で
育てていた里子ちゃんを連れて行かれてしまった人や、
突然、実親が「引き取りたい」と言い出したから、
と子どもを連れて行かれてしまった方がたくさんいます。
長い期間、育てられる保証がないなら、
あとで寂しい思いをするのなら、
と委託を受けない方だっているのです。

そして、まだ小さい子どもだと、どうしたって
お母さん、つまり里母さんに出来るだけ
長い時間一緒にいて欲しい、と児童相談所は考えます。
なので、働いている里母さんは出来れば避けたい。
里親さんにすると、仕事は続けたいけれど、
実の子じゃないから、育児休暇が取れない、
なので、委託してもらえない、
という方もいます。

厚労省はDVの目撃など、専門的ケアが必要な子は
施設入所を認める、としていますが、
児童相談所があずかる子どものほぼ全員が専門的ケア
が必要な子です。
だから結局、里親委託ではなく施設入所となる子が
多い状況は変わらないのだろうな、と思います。

そして一番の問題は。
委託後に、うまく行かなかった場合を考えていない事です。
子どもを里親さんに委託し、しばらく育てたけれど、
やっぱり育てられない、となってしまった場合。
子どもは心に傷を負うことになります。
そして里親さんの心の傷にもなります。
だから、原則里親委託、なんて方針は乱暴すぎる、
と私は思うのです。